
2026年度大学入学共通テスト『情報Ⅰ』を振り返る ――共通テストが示した「学びの現在地」
■ 入試に「情報」を導入する意味
――電気通信大学では、2025年度から一般選抜の前期試験で「情報」を選択できるようになりましたが、2026年度の受験状況はいかがでしたか。
[小宮先生]
現時点でお話しできるところで言いますと、まず「情報」の選択率は、2025年度同様、受験生の3分の1以上でした。受験者数は昨年度より増加して、500人以上ありました。
また、共通テストの『情報Ⅰ』と、個別試験の「情報」の成績に相関は見られましたが、それは個別試験の「情報」を省略できるほど強い相関ではありませんでした。
この相関でおもしろいのは、合格者と不合格者を合わせたときの相関係数と、合格者だけの相関係数を比べると、合格者だけの値の方がやや小さくなることです。この点については、本学は国立大学なので、合格するためには他の科目の成績も必要になることが影響した、という感じでした。
嬉しい点としては、個別試験で「情報」を選択した人と選択しなかった人の共通テスト『情報Ⅰ』の得点を比較したとき、前者の方が、後者よりも明らかに『情報Ⅰ』の得点が高かったことです。これは、合格・不合格に関わりなく言うことができます。つまり、個別試験で「情報」を選択受験した人には、情報が得意とする人が多いということになり、本学に情報が得意な人が集まってくれた、ということです。教員からも「授業がやりやすくなった」という話を聞いています。
本学の個別入試でも、問題設定を問う問題は皆よくできていました。やはり情報が得意な人たちなので、コーディングもよくできていましたね。
――今後の大学入試で、独自試験は難しいとしても、例えば共通テスト利用型の選択科目に『情報Ⅰ』を取り入れていくことによって、どのような効果が期待できるでしょうか。
[小宮先生]
大学からすると、受験勉強で情報関係のスキルが上がるので、入学後の情報教育がやりやすくなるという効果はあると思います。また、今は大学のどの分野でもコンピュータを使いますし、就職後も、文系・理系を問わず、データを扱ったり、情報システムに関わったりしますから、そういうところの底上げができるということは、大いに期待できると思います。
[Profile]
小宮 常康 氏
1996年豊橋技術科学大学大学院工学研究科システム情報工学専攻博士課程修了。博士(工学)。
京都大学大学院工学研究科情報工学専攻助手などを経て、2007年、電気通信大学大学院情報システム学研究科に助教授として着任。2026年、同大学大学院情報理工学研究科教授(現職)。
情報処理学会情報入試委員会幹事。情報入試関連の活動により、情報処理学会2025年度学会活動貢献賞受賞。
専門はプログラミング言語と言語処理系。
インタビュー・記事:小松原 潤子(KEIHER Online 編集委員)
編集:山口 夏奈(KEI大学経営総研 研究員)


