
CBTの可能性と教育的エビデンス -全国学力・学習状況調査と入学者選抜の挑戦-【vol.1】
■ 入学後の指導にCBTの結果を活用する
UEC検定(電気通信大学の新入生基礎学力調査)では、フィードバックをそれぞれの学生に返却します。下図は数学の結果で、緑がその学生の習得度、青が学年平均です。それぞれの領域についてどれくらい習得しているかが示されています。
この学生は、総合型選抜での入学者ですが、微分・積分が少し弱いです。微分・積分は高校3年の最後に学ぶので、一般入試の人は必死に勉強しますが、総合型選抜の合格者は、微積分を勉強する頃はすでに受験が終わっているので、一般入試の入学者よりこの領域がややと弱い、という傾向が見られます。このように可視化したものを返却することによって、「この分野をもう少し勉強しよう」と指導することが可能になります。
この予測精度が非常に高く、単位を落とす可能性がある分野が事前にわかるので、そういう人は基礎科目の補習へ誘導する仕組みを作りました。また、これらの予測によりCBT入試の最低点を決定しました。

また、我々のCBTによる入試(総合型選抜、学校推薦型選抜)では、基礎学力とともに、「非認知能力調査(関心・意欲・態度の測定など)」をCBTで実施します。この結果は第一次選考の合否には直接加味されませんが、第二次選考(面接試験)の参考資料として活用されます。この非認知能力と成績との関係を見てみると、非認知能力のスコアがある値以下の場合は、単位取得率が大幅に下がり、留年リスクが高くなります。これは学業成績には関係ありません。
私が1年生の担任をしていたとき、第一志望の大学に落ちてしぶしぶ入学してきた学生に、この傾向が見られました。最初の導入教育などの成績は非常に良いのですが、どんどんやる気がなくなってしまう。そういった学生には、面接をして、本学で学ぶことの意義や将来の大きな可能性を説明してあげることが大切です。このように、非認知能力を測っておくことで、入学時点で将来のGPAまで予測でき、また必要なサポートも準備できるようになります。
さらに、入学後の成績を見ると、CBT導入後の総合型選抜による入学者の単位取得率に大幅な改善が見られました。具体的には、1年生の実験科目の単位取得率が、CBT導入前は93%だったのが100%に、情報系科目では57.1%から100%に、数学では75%から95%にそれぞれ上昇しています。これらは単位が取れないと留年してしまう科目ですが、CBTの導入後は取得率がほぼ100%に近くなっています。
総合型選抜のCBTは9月に実施しますので、一般選抜に比べてかなり早期です。それにもかかわらず、きちんと学ぶ力のある学生を獲得できている。つまり、予測の精度が高いことが示されたと言えます。
また、入学後に実施するUEC検定の成績でも、総合型選抜による入学者の成績は、一般選抜による入学者と遜色ありません。特に情報は、選択科目に「情報」を導入した一般選抜前期の入学者よりも、CBTを用いた総合型選抜の入学者の方が、中央値も分布も明らかに高くなりました。興味深いのは、CBTでは試験を行わなかった物理の成績も上がっていることです。
CBTの導入前は、総合型選抜で入学した学生の伸び悩みは我々にとって頭の痛いところでしたが、この結果を見て、総合型選抜の定員をもっと増やしてもよいのではないか、という話も出てきています。
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インタビュー・記事:小松原 潤子(KEIHER Online 編集委員)
編集:山口 夏奈(KEI大学経営総研 研究員)


