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複雑・多様化する社会の構造的な課題を提起し、これからの高等教育のあるべき姿などを問い、課題解決の方法を提言していく。

CBTの可能性と教育的エビデンス -全国学力・学習状況調査と入学者選抜の挑戦-【vol.1】

■ CBTによる出題の可能性

共通テストにおけるCBTの活用には様々な課題がありますが、一方で「このような可能性もある」ということを、DNCの令和4年の報告書「CBTでの『情報Ⅰ』の出題に関する調査研究について(報告)」でまとめています。これは「プログラミングやデータサイエンスの問題をCBTで出題すれば、このような出題も可能になり、また、それを実現するソフトウェアを調査研究により開発しました」という内容の報告書です。

この報告書の内容を説明するにあたり触れておきたいのが、IMS Global Learning Consortiumです。現在は、1EdTech Consortium(ワンエドテック・コンソーシアム)に改称していますが、これはCBTなどの教育のためのIT技術標準を開発・普及促進している国際ネットワークです。

私どもがDNCで、CBTを用いてプログラミング等を出題する仕組みを作ろうとしたとき、植野先生に「DNCも、CBTを持続可能なものにするために、このコンソーシアムに入った方がよい」とご助言をいただき、それが大きなきっかけとなって、このコンソーシアムに加入しました。ご助言くださったときを振り返って、国際的な技術標準を踏まえることについての、植野先生のお考えについてコメントをいただけますでしょうか。

[植野氏]
当時、DNCでは、最初の話題にあった「共通テストを早急にCBTに変えるのは難しい」という方向に議論が進んでいた頃でした。問題作成の部分だけでなく、運営や実施についても難しい問題がありました。そこで、少なくとも各大学が世界標準に従ったフォーマットで問題を作っていけば、最終的にDNCで問題をまとめることができるのではないかと考えて、そのような助言をいたしました。

[平氏]
ありがとうございます。DNCは定員が約120人の小さな機関ですが、その機関が数千・数万の問題を作成して、50万人を対象とした試験として実施するのは、単独では限界があることも踏まえたご助言だったということがわかりました。

そういったことも踏まえて、国際的な技術標準に従った「情報」の問題に対応する仕組みを調査研究で開発しました。
使用したのは、TAOというCBTプラットフォームです。これは「全国学調」で使っているMEXCBTというシステムのベースにもなっています。このTAOに差し込むことで、新しい種類の問題を作ることができるようになるPCI(Portable Custom Interactions)のモジュールを3種類開発しました。

1つ目がプログラミングの問題で、これはScratchのように、短冊状のコードを並び替えて、プログラミングのコードを書くことができるものです。
2つ目と3つ目は、散布図やクロス集計といった、データサイエンスの問題のためのPCIモジュールです。これを用いることで、紙では扱えない大量のデータをコンピュータ上で分析して問題に解答させることが可能になります。


■ 試験の性質とCBT活用の可能性

以上、私がDNCに在籍していた時に取り組み、報告書として公表したCBT調査研究について紹介させていただきました。共通テストについては、今すぐCBTを活用するという結論にはなりませんでしたが、全ての試験でCBTの活用に課題があるわけではありません。試験にもいろいろなものがあります。

下のスライド17は、試験等をハイステークス、つまりその試験等の結果が受験者の人生に大きな影響を与えるような使われ方をするのか、そうでないかという軸、および、試験等の規模が大規模か小規模か、という2つの軸で整理したものです。この2つの軸のいずれにおいても上側に位置する共通テストは、CBTによる実施がまだ難しいということは、これまで確認したとおりです。

では、ハイステークスではあっても規模の小さい個別大学の入学者選抜はどうなのか、あるいは規模は大きいけれどもハイステークスな使われ方をするわけではない「全国学調」はどうなのか。ここからはこの2つの部分について、植野先生と私とで、ここまでご紹介したDNCの調査研究の後、それぞれの所属機関で実施しているCBTの取組みについてご紹介します。


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