オピニオン/研究

複雑・多様化する社会の構造的な課題を提起し、これからの高等教育のあるべき姿などを問い、課題解決の方法を提言していく。

【vol.2】「大学入試改革」の今後 ~東洋大学の展望~

■ 文系学部の数学必須入試 ~合格ラインの調整によって志願者を集める~

もう一つ、文系学部の数学必須入試を行なっています。私立大学の文系学部では、英語、国語に加えて地歴・公民、数学から1科目選択というのが一般的なパターンだと思いますが、本学では「英・国・地公型」と「英・国・数型」に分けて入試を行い、徐々に募集人員を「英・国・数型」に振り始めています。

その理由は、経済学部を筆頭に、今後は文系でもプログラミングや統計が必要な時代だからです。一般的に、地歴・公民と数学から1科目を選ぶとなると、文系生の数学の選択率は2割程度です。そのまま何も手を入れずにいると、数学の受験者数は今後減少する一方なので、数学必須型の区分を別に設けました。さらに、「英・国・数型」の合格ラインを下げて、「英・国・地公型」を少し上げています。前者はどうしても志願者が集まりにくいため、合格ラインを下げることで、この型での受験者に多く入学してもらおうと考えました。

東洋大学の入試の合格ラインは、基本的に、学部ではなく入試部の責任で引いています。そのため、このようなコントロールができるのです。この点は、他の大学とは違う部分だろうと思います。

これにより、「英・国・数型」に志願者を集めることができるのです。我々は、こうしたやり方を「入試を育てる」と表現しています。実際、この十数年でかなり育ってきて、募集人員も方式も増やして、志願者数も増加しています。これは倍率をコントロールしていけば、このようなことも可能となるという、一つの事例になると思います。


その中のいわば急先鋒が、経済学部です。経済学部では、入学後に数学が必要不可欠ですが、入試科目で数学を必須にすると間違いなく志願者が減るので、数学必須にしていない大学が多いと思います。他方、本学は2011年から数学必須の方式を始めて、これまで育ててきました。現在、経済学部では、一般選抜で入学する140名のうち、109名が数学必須入試での入学者です。

数学必須入試導入以前は、大学入学後に、高校以前、文字通り算数レベルのクラスを設けて補習をしなければならないような状態でした。しかし、大学としては、やはりそうではないだろう、ということで、入試を変えることにより入学者を変えていきました。現在は1年生の4月からすぐ、経済学の授業ができる状態を実現しています。

また、総合型選抜と学校推薦型選抜の出願条件にも数学を課しています。スライド22の右下に小さくありますが、経済学部では年内入試の入学者も、約6割が数学必須で入ってきている状況です。これを一番喜んでいるのは経済学部の教員です。教えることが楽しくて、教員の意欲も高まりますので、こういった改革はやはりやっていくべきだと思います。そして、これが入学試験の本来の形ではないかとも思うのです。


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