オピニオン/研究

複雑・多様化する社会の構造的な課題を提起し、これからの高等教育のあるべき姿などを問い、課題解決の方法を提言していく。

【vol.2】「大学入試改革」の今後 ~東洋大学の展望~

■ 総合型選抜に基礎学力テスト型を導入した理由

そして、総合型選抜の基礎学力テスト型入試です。下のスライド23は、昨年度(2026年度)入試の概要です。2026年度は、11月に基礎学力テスト2科目と書類選考と事前課題小論文という形で、全国の試験会場で実施しました。

学部・学科別の入試結果が、次のスライド24です。学内で併願をする人が多いので、志願者の延べ数は2万人近いですが、実際の受験者はだいたいその半分の1万人弱です。

また、合格者数は4,370人とありますが、これも延べ数で、実人数にすると約2,500人となっています。その中で実際に入学したのは、2026年度は961人、歩留まりは4割弱でした。2025年度に初めてこの試験を実施した際、関西の私立大学の歩留まりをリサーチしたのですが、およそ同程度でした。

これまで指定校推薦などで入学者を確保していたところを、この方式で学力を担保した学生を獲得することができるようになったというのは、本学として非常に喜ばしいことだったと思います。2025年度に本方式で入学した学生を追跡してみると、やはり入学後は大学が期待したパフォーマンスを挙げています。そのため、いろいろと議論を呼びましたが、この方式はこれからも続けていきたいと考えています。


■ 学力試験を課すことで、志願者・入学者の学力層も変化する

学力を問うタイプの試験方式別に、ターゲット校の割合、つまり受験者層の違いを、志願者の占有率で見てみました。

本学の場合、ターゲット校の割合が最も高いのは共通テスト利用方式で約6割です。この方式の受験者は、本学以外にもいろいろな大学を受験するので、歩留まりはあまり良くありませんが、大体この程度だろうと見ています。そして、一般選抜が45%で、基礎学力テスト型は一般選抜に近い数字になりました(42.2%)。 一方で、学力試験を課さない総合型選抜や学校推薦型選抜の志願者におけるターゲット校の割合は約20%で、明らかに他の方式とはその割合が異なります。

また、英語外部試験の利用率を、共通テスト利用方式、一般選抜、基礎学力テスト型の3つの方式で比べてみると、基礎学力テスト型は志願者でも合格者でも、英語外部試験の利用率が高くなっており、真面目に勉強している学生が多いことがわかります。真面目で基礎学力を備えている人というのは、やはり大学が求める学生像に近いので、こういったデータも、基礎学力型の効果の裏付けとして、学内で共有しています。

また、高校の学習成績の状況と合格率はかなり相関しています。もちろん高校ごとにレベル差はありますが、学習成績の状況が高いことは、その高校の中で頑張った証です。そのため、その部分をもっと評価してもよいのではないか、という議論になり、2027年度(2026年実施)の年内入試では、評定と小論文の配点を少しプラスしました。


■ アドミッションポリシーに基づく多様な入試方式

我々は、いま挙げたような方式の他に、アドミッションポリシーに基づくさまざまな方式の入試を行なっています。ただし、これらは主として、本当に東洋大学に入りたい人が受験する方式なので、多くの志願者は集まりづらいのが実態です。

そして、下のスライド29が、2027年度の本学の入試区分別の募集人員です。話題になった基礎学力テスト型は、前年度に志願者が2万人集まったので、相当募集人員も多いだろうと思われているかもしれませんが、実際には全体の1割に満たない程度です。あくまでもいろいろな選択肢の中の1つとして用意しているに過ぎません。これについては、誤解が生じている部分もありますので、この機会に紹介させていただきます。


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