オピニオン/研究

複雑・多様化する社会の構造的な課題を提起し、これからの高等教育のあるべき姿などを問い、課題解決の方法を提言していく。

情報入試実施大学レポート2026―松山大学・高知工科大学・広島市立大学・立命館大学―

【松山大学 情報科学部】松山大学 情報入試導入に向けて

松山大学情報学部 小林 真也教授

小林 真也教授

松山大学は、2026年度実施の2027年度入学者選抜から情報入試を実施するための準備を進めています。本日は、現在進行中の状況をお話しします。なお、これは私の個人的な見解であって、大学の公式発表ではありませんので、その点はご了承いただきたいと思います。

松山大学は1923年に松山高等商業学校として開設され、100年以上の歴史があります。経済学部、経営学部、人文学部、法学部、薬学部、情報学部の6学部を擁しており、情報学部は2025年4月に開設され、今春2年目を迎えます。

情報学部の定員は120名ですが、初年度の今年の1年生は、地元で志望する学生が非常に多く集まりました。情報システムや情報インフラの構築・管理・運営に焦点を当てた「情報システム分野」と、メディア情報処理と情報デザインに焦点を当てた「メディアデザイン分野」のどちらも学べるカリキュラムで、専門性を考慮して13の目標別プログラムを用意しており、文系・理系の両方の学生がいます。
少し前に、学生たちに自分は文系・理系どちらのタイプと思うか、というアンケートを取ったところ、大体3分の2の学生が理系、残りの3分の1は文系だと思う、という回答でした。


「共通テスト利用選抜」の状況

情報入試については、昨年度と今年度、6つの学部の中で薬学部を除く全ての学部で「共通テスト利用」という形で実施しており、選択科目として「情報Ⅰ」の選択が可能です。情報入試は学びに必要な様々な能力を測ることができるので、大学としても「お得感」がありますが、実は高校生にとっても、どの学部に進むとしても「情報Ⅰ」を選択しておけばよい、という状況になっています。

利用状況をもう少し細かく見てみます。2026年度の各学部の入学者選抜試験で、入学定員と、共通テストの「情報Ⅰ」を利用して受験することができる定員枠がこちらです。この入学定員の中には、いわゆる推薦入試や総合型選抜が入っていますので、実際に学力試験を受験する人の中では、この数字よりも大きな割合になります。


個別入試「情報」の導入に向けて

個別入試の「情報」については、冒頭で申し上げたように、2027年春に入学する学生から実施、ということになっています。スライドの一般入試Ⅱ期の日程は、今年の実施日で、来年度についてはまだ発表されていませんので、参考までにご覧ください。
そして、情報学部以外の、いわゆる文系の学部の学生も個別試験で「情報」を受験できることになっています。

次に、個別入試「情報」導入の具体的な内容についてお話しします。表の左側が現行、つまり今春までのもので、右側が2027年度です。2027年度からは、選択科目(いずれか1科目)の中に「情報Ⅰ」が入ってきます。
2027年度の配点はまだ公開されていませんが、仮に現行2026年度の配点で割り当てていくと、経済・経営・人文・法学部では、選択科目は300点満点中の100点分相当、つまり「情報Ⅰ」が3分の1という配点になります。

情報学部では、これまで国語・英語・数学の3科目で受験していましたが、2027年度からは、数学か「情報Ⅰ」のどちらかを選ぶという形になります。こちらも来年度実施の配点はまだ公開されていませんが、今年の例で言えば、「情報Ⅰ」は300点満点中の100点相当となります。


個別入試で「情報」を利用する受験生の割合予想

次に、個別入試で「情報」を使って本学を受験できる学生はどのくらいの割合か、ということですが、個別試験で「情報Ⅰ」を実施する一般選抜Ⅱ期日程の、入学定員に対する割合が下表です。入学定員も募集人数も今年の数字ですので、変わる可能性はありますが、各学部で個別試験で「情報Ⅰ」を受験することができる学生の割合はこのくらい、ということでご覧ください。

では、共通テストまたは個別試験の「情報Ⅰ」で松山大学を受験できる受験生が、入学定員のどの程度にあたるのか、ということですが、推薦入試も含めた入学定員に対して、「情報Ⅰ」で受験することが可能な3つの日程(共通テスト利用前期・同後期、一般Ⅱ期)の募集人数を合わせると、例えば経済学部では165名、41.25%で結構な割合になります。
実は、一番利用割合が低いのが情報学部です。これは、情報学部は推薦枠の割合が他学部よりも高いためです。繰り返しになりますが、これは2026年度の数字ですので、2027年入試での割合がこの通りになるとは言えないことを申し添えておきます。

推薦などを除いて、学力試験を課す入学定員は、緑の網をかけたところですが、全体の約半分です。そして、学力試験を課す定員枠(薬学部を除く)のうち、85%の受験生が「情報」を選択して受験することが可能である、ということになります。


情報入試導入の意義と期待すること

最後に、情報入試を導入する意義について、私個人の考えをお話ししたいと思います。情報科学部としては、やはり入学する学生には「情報」をきちんと学んできてほしい。「情報Ⅰ」だけでなく「情報Ⅱ」にも興味を持って学んできてほしいと思います。そして、結果として入試で「情報」を選択しなくても、「情報を学んでおかなくては」という意識を持って高校時代を過ごす人が増えてくると嬉しいと思います。
今日も愛媛県下の高校で教育に関わっている方がたくさんご来場くださっていますが、特に県下の高校で、ぜひ情報の授業に力を入れていただければと思います。情報入試が始まることが、「情報」の授業が充実するきっかけの一つになればありがたいと思っています。

そして、情報入試では、ぜひ思考力を評価したいという思いがあります。これは個人的な意見ですが、ネットワーク社会において、情報へのアクセスは昔に比べて非常に容易になりました。さらにAIの発展も相まって、大量のデータをすぐに簡単に手に入れることができる時代になりました。昔は「あの人は物知りで賢いね、偉いね」と言われましたが、今は物知りであることよりも、思考できることの方がより重視されるようになっています。そういったことからも、高校で思考力をしっかり育てていただき、入試ではそれを評価することに意味があると思います。

私自身が「情報」入試で見たい能力を挙げました。まず、人間のみがなせる技ということで、言語能力(Language Arts)、これは問題の内容や意図を正しく読み取る力です。共通テストの問題を見ても、問題文をしっかり読んでいくと解ける問題が多く、こういった力が問われていると思います。
次に論理的思考力(Logical Thinking)、論理を組み立てて検証する能力です。そして、数値データの読解・分析能力(Numeracy)です。数値やデータを見る能力、データを分析して有意な情報を生み出す能力、あるいは求める情報を得るためにどのような数値データが必要か、ということを判断して分析をする能力です。これは単なる統計学ということではなく、統計学を使いながら分析をしていく能力です。最後にグラフや図の読解力・分析力(Graphicacy)です。これは読解・分析だけではなく、パッと見て考えることができ、わかるように表現する能力も指します。こういった力をしっかり身に付けてきてほしいですし、我々もこれらの力を見られる試験をしたいと思っています。

関連記事一覧