オピニオン/研究

複雑・多様化する社会の構造的な課題を提起し、これからの高等教育のあるべき姿などを問い、課題解決の方法を提言していく。

CBTの可能性と教育的エビデンス -全国学力・学習状況調査と入学者選抜の挑戦-【vol.2】

■ 全国学調へのCBT導入に向けた検討

全国学調をCBTで実施するにあたり検討した論点について、一つずつ見ていきたいと思います。まず、端末やネットワークについては、GIGAスクール構想による1人1台端末と校内ネットワークを活用しています。これが整備されたのが、全国学調CBT化の実現につながったと思います。

また全国学調はあくまでも調査なので、入学者選抜のように厳密に全員を同じ環境に揃えるというよりは、子どもたちが普段学習しているのと同じ形式で実施するのが適切という考え方もできます。これもGIGA端末で全国学調を実施できた理由の一つです。

そして2つ目の、CBTを実施するシステム(ソフトウェア)は、国として、CBTで子どもたちの能力を測るためのMEXCBTというシステムの開発が進んでいたので、これを使うことで解決しました。DNC時代に、私がCBTを実施する上で大きな課題と感じていた2つが、国全体の施策によって解決したことになりました。

この2つの課題が解決したことにより、あとは実施期間をどうするのか、どのような問題を出すのか、特別な配慮が必要な児童・生徒への対応をどう行うのかなどを、学校現場に寄り添った形で一つひとつ設計していき、CBTによる調査の実施に至ったのです。

そして、大切にしたかったのが結果の提供です。電気通信大学でも、CBTの結果を学生の学びにどのように活かすか、というところを非常に大切にされていましたが、先ほども述べたように、全国学調の目的は、調査の結果を子どもたちの学びに活かしていくことです。

そこで課題になったのが、結果の表示がIRTのスコアになることです。やはり学校の先生方にとっては、スコアよりも素点で示す方が、よりイメージがわくようです。先ほど植野先生から、素点による表示の可能性があることを示していただきましたが、それを全国学調で実現するのは困難でしたので、子どもたちには1から5の5段階で、教育委員会と学校には、500を基準とするスコアの形で結果を返却しました。

もう一つの課題が、非公開の問題があることです。IRTに基づく調査なので、原則すべての問題を非公開にすべきところですが、どのような問題が出題され、子どもたちがどう答えたか全くわからないのでは、学校現場が調査の結果を学習に活かすことが難しくなります。

そのため、折衷案として、1人当たりが解答する問題セットの半数程度の問題を公開問題として、調査が終わった後に公表し、学習に活かしていただけるようにしました。非公開問題については、個々の問題の内容や正誤ではなく、全体の解答状況からわかる児童・生徒の学習状況を可能な限りフィードバックしています。


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