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奈良女子大学 高田 将志学長インタビュー[後編] -女子大初の工学部がもたらした新たな風と、社会で輝く「質実剛健」な女性たち-

■ コラム①:「地形を見る専門家」であること

私はしばしば、植物生態学者の方からフィールドワークへの同行を頼まれることがあります。ある時、「なぜ私を連れて行くのか?」と尋ねてみたところ、「たとえ初めて訪れた土地であったとしても、そこで生じた疑問に対し、仮にでも『その場で』答えてくれるからだ」と返事をされました。

私は自然地理学の中でも、特に地形学を専門としています。例えば土地の隆起や沈降の原因などは、この分野で研究されていることの一つです。そうした研究をしていると、仮に知らない土地であったとしても、「あの場所はどうして隆起しているのか」「あれはいったい何だ」といった質問に対し、眼前に広がる景色から情報を集めて、ある程度回答することができます。どうやらこの「即応性」に価値があるようです。一定の根拠に基づいた考察を「その場で」してくれるため、地形学者は貴重なのだということでした。


これはとある懇親会での話です。「高田先生、これ、どこだかわかりますか?」そう言って、本学理学部の教員が、私のもとに1枚の衛星画像を持って来ました。

その先生にしてみれば、軽いクイズのつもりだったのでしょう。けれども、私はこの挑戦に燃えまして。「絶対に当ててやるぞ!」と、地形学者のプライドを懸けて臨みました。

衛星画像が示す場所が、日本国内であることはすぐに分かりました。方角は影のできる向きで判断可能ですし、平野の位置や川の流れる方向、山の配置、海岸線の形状なども総合して考えていくと、候補を4~5か所に絞るのは特別難しい作業ではありません。

しかし、正解の1か所を導き出すには、画像から読み取れる情報だけでは不十分でした。「候補の一つを適当に言えば良いじゃないか」と思われるかもしれませんが、私には地形学者としてのプライドがあります。それに、「一発で当てなければ…!」という(勝手に背負った)プレッシャーもありましたから、絶対に外すわけにはいきません。そこで、会話の中でそれとなく他の条件を聞き出していきました。

結果、無事に一発的中を成功させた私は、その後、その先生から「神」だと崇められています(笑)。

奈良市の空中写真:中央左に奈良女子大学、右に東大寺が見られる(国土地理院の空中写真データを加工して作成)

奈良市の空中写真:中央左に奈良女子大学、右に東大寺が見られる(国土地理院の空中写真データを加工して作成)


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