
奈良女子大学 高田 将志学長インタビュー[後編] -女子大初の工学部がもたらした新たな風と、社会で輝く「質実剛健」な女性たち-
■ 堅実に自身の道を歩む 奈良女子大生の「質実剛健」
――貴学は奈良女子高等師範学校を前身とし、女性教員の養成を目的とする教育機関としてその歩みを始められました。時代が変化する中で、教育の目的や大学の理念に少なからず変化はあったと思いますが、変わらぬ伝統もきっとあるはずです。高田先生は「奈良女子大学の伝統」をどのようなものだとお考えになりますか。
昔は女子大というと、いわゆる「良妻賢母」を育む、といったイメージが一般的でした。しかし、本学の場合、特に新制大学になってからは、家事に従事する女性というよりも、むしろ「家の外」で長く働く社会人、とりわけ役職者やリーダーとして活躍するような人材を養成し、社会に輩出してきました。ここに一つ、本学の特徴があるように思います。
本学の卒業生には、年齢を重ね、さまざまなライフイベントを経てもなお、社会人として長く活躍されている方がとても多いです。家庭のことや自身のプライベートもある中で、社会活動にエネルギッシュに取り組まれている姿からは、彼女たちのバイタリティの高さを感じます。
私は学長に就任したことを機に、「どのような企業でどのような方が役職に就いていらっしゃるのか」をより意識するようになりました。そうすると、業種を問わずあらゆる企業で、本学の卒業生の名が見られることに気が付いたのです。長くお勤めであることはもちろん、実績や信用がなければ、役職者としての活躍を期待されることはありません。その期待に応えられるような人材を、本学は数多く世に送り出してきたのだと再認識しました。

奈良女子大学記念館:明治42年(1909年)竣工。平成6年(1994年)重要文化財に指定。
本学では毎年8月末に、卒業30周年の同窓会を全学規模で開催しています。「卒業30周年」ということは、参加者は全員52歳以上です。けれども、ほとんどの方が現役社会人として、第一線で活躍されています。ここ数年は、私もこの会に学長として参加していますが、彼女らのアクティブさには驚かされてばかりです。
また、この同窓会は、参加率が例年60%程度と非常に高いのも特徴的です。口幅ったいですが、「私は奈良女子大学の卒業生である」という誇りと愛校心を持ってくださっているからこそ、卒業から30年経っても、これだけ多くの方が集ってくださるのだと思います。学長として、また本学の教員として、これほどありがたいことはありません。
そんな本学の学生・卒業生には「質実剛健」という言葉がよく似合う気がします。時流に乗ったり、奇をてらったりするのではなく、自身の目指す先を見据え、堅実にその道を歩んでいく。そのような方がとても多い印象です。
――「質実剛健」、良い言葉ですね。貴学で学生生活を送る中で、そのような気質が育っていくのだと思います。
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