目白大学・今野裕之学長インタビュー 目白大学が掲げる「育てて送り出す」教育の実践

2. 心理学の視点で紐解く現代学生の気質

今野: 高校時代、進路選択で「理系」に進むか「文系」に進むかで最後まで悩んでいました。担任の先生に「どちらもできる学問はないか」と相談したところ、「人間の心を科学的に捉える学問であり、動物実験やデータも扱う心理学がいいのではないか」と勧められたのがきっかけです。

大学入学後は人間を対象とする「社会心理学」や「パーソナリティ(人格形成)」の研究のほか、大規模な研究グループでリスクマネジメントに関する社会心理学的な研究なども行ってきました。

今野: 本学の学生に限らず、現代の若者は「自分自身を見つめること」、とりわけ「自尊感情(自己肯定感)の揺らぎ」に対して強い関心を持っていると思います。

1日ごと、あるいは1日の中でも、へこんだり自信を持ったりと変動する気持ち。自分が他者からどう見られているかを確認したがる傾向。そうした「自己をどう捉えているか」という内面的な葛藤に寄り添い、心理学的なアプローチで彼らとともに研究してきた経験は、大学全体として学生一人ひとりに向き合うための大きな基盤となっています。


今野: これは私のゼミにいる学生と実施している研究ですが、スマートフォン依存は、現在研究者が急増している分野です。スマホの恐ろしいところは、その小さな端末の中にギャンブル、ゲーム(課金ガチャを含む)、ネットコンテンツなど、依存のきっかけになりやすいものがすべて詰まっており、しかもどこにでも持ち運べる点です。

久里浜医療センターのような依存症の専門病院でもスマホ依存外来が設けられていますが、スマホ依存はあらゆる「問題行動の入り口」になり得ます。例えば、ゲームのガチャで射幸心を煽られた結果がギャンブル依存につながったり、さらには「闇バイト」のような深刻な犯罪の入り口になっていたりなど。こうした依存のメカニズムを適切にアセスメントし、抜け出す方法を研究することが求められています。

今野: 以前ゼミにいた学生が実施した研究ですね。高校や大学が設置されていない離島の子どもたちは、中学や高校を卒業すると「必ず島を出ていかなければならない」という特殊な環境に置かれます。

彼らに「投影法」(絵や文字を描かせる心理テストの一種)を実施すると、ずっとそこにいるイメージを持つ本土の子どもたちとは、「将来のイメージ」が全く異なることが分かります。彼らの心の中には「島を離れるイメージ」と「いつか島に戻ってくるイメージ」が複雑に交錯しています。このように「置かれた環境が人の心や将来像に与える影響」を研究してきた視点は、多様な背景を持つ本学の学生を深く理解する上で役立っています。


今野: 本学の学生の最大の魅力は、「素直できちんとしていること」です。教員や大人のアドバイスを真っ直ぐに受け入れる受容性があり、社会人になっても組織のルールを守り、環境にフィットしやすいという素晴らしい長所を持っています。(少し批判的な思考を持つ学生であっても、「先生がそう言うなら、そうした方がいいよね」と素直に受け入れてくれる傾向があります)

一方で、素直すぎるがゆえに、「主体性」や「自立心(自ら課題を見つけて動く力)」の面では、我々がもう一歩背中を押して補ってあげる必要があると感じています。


3. 日本初「韓国学部」への挑戦

今野: これまでの韓国語学科でも、語学の最高レベルであるTOPIK6級を取得する学生が多数いたり、韓国大統領夫人が本学に訪問された際に通訳を行なったりと一定の成果を上げてきました。しかし、学生の強い動機である「文化面の研究」には十分に力を入れられていませんでした。

「韓国学部」として独立させる最大の狙いは、「語学の習得にとどまらず、韓国の現代文化コンテンツや歴史を含めた総合的な探究を行うため」です。韓流ドラマを字幕なしで理解したい、K-POPの背景を知りたいという文化へのモチベーションは語学学習を加速させます。そして、その逆もまた然りです。

他大学の韓国語専攻(東京外国語大学などの朝鮮語専攻を含む)との明確な違いとしては次のことが挙げられます。

圧倒的なネイティブ教員体制:
学部化に伴いスタッフを3名増員し、10名中8名がネイティブの教員という体制を敷きます。生きた韓国語を学べる強力な布陣です。

充実した留学制度:
原則として学生全員が1年間の留学を経験します(事情がある場合は免除)。さらに、毎年10名前後が2年間の留学を経て、目白大学と韓国の協定校の「ダブルディグリー(2つの学位)」を取得できる制度を用意しています。これが大韓航空などの韓国系企業への強力な就職実績に結びついています。

日本にとって最も近く、重要な隣国である韓国と、ずっと仲良くしていかなければならない中で、「日韓の架け橋になる人材」を育成することが本学部の使命です。


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