
「QS世界大学ランキング2027」発表:アジア・中東の台頭で揺らぐ米欧の優位性
■ 国・地域別ランクイン総数
今年のランキングには、106の高等教育システムから1,500以上の大学が掲載されている。大学ランクイン数の最多は米国の184校で、次いで英国が93校、中国本土が85校である。新たにランクインした大学が最も多かったのは中国本土(13校)で、ドイツ(11校)、スペイン(10校)と続く。

■ 評価指標別ランキング1位の大学
QS世界大学ランキングは、9つの主要指標における各大学のスコアに基づいて決定される。以下の表は、QSの各指標における世界トップの大学を示したものである。
*詳細な方法論については、QSの公式サイトを参照のこと。

■ グローバル・ハイライト
米国:カリフォルニア工科大学が世界7位に上昇。これは2023年に6位タイとなって以来、最高の順位である。イェール大学とジョンズ・ホプキンス大学も、ともに世界トップ20に返り咲いた。ハーバード大学は、「学術的評判」「教員一人あたりの論文被引用数」「雇用主からの評判」「就職実績」の4指標で世界1位を獲得しており、これは他のどの大学よりも多い結果である。また、メリーランド大学ボルチモア校は、「学生一人あたりの教員数」で世界1位となった。10年前は222位であったアリゾナ州立大学は、2027年版で世界172位となり、過去最高位を達成した。
カナダ:カナダでは約66%の大学が今回順位を落とす結果となった。マギル大学は2年連続で国内トップの座を維持し、世界30位を獲得。このほか4つの機関が10年間で最も高い順位を記録した。しかしながら、世界の競合大学はカナダの大学以上に速いペースで改善を遂げており、特に留学生比率、就職実績、外国人教員比率、教員一人あたりの論文被引用数において、その傾向が顕著である。
オーストラリア:ニューサウスウェールズ大学が初めて国内トップの座を獲得。全体として、ランクインした国内37機関のうち58%が順位を上げており、特に研究者や雇用主からの評判を測る指標で高い評価を得ている。加えて、サンシャインコースト大学が2025年以来初めてランキングに復帰したことで、オーストラリアはQS世界大学ランキングにおける過去最多のランクイン数を記録した。
アイルランド:アイルランドの6機関が順位を上げ、ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンが初めて世界トップ100入りを果たした。「雇用主からの評判」と「持続可能性」の両方で世界2位にランクインしていることからもわかるように、アイルランドの高等教育システムは近年の上昇傾向を継続している。
中国本土:ランキング入りした85大学のうち13校が初登場であり、今回最も多くの新規ランクインを記録。また、26校が過去最高順位を達成した。「教員一人あたりの論文被引用数」「雇用主からの評判」「学術的評判」といった分野での改善が、本ランキングにおける同地域のパフォーマンス向上を後押ししている。
香港特別行政区:2年連続でアジアで最も改善が見られた高等教育システムとなった。3大学以上がランクインしているシステムの中では、世界で2番目の伸びを記録している。以前からランクインしていた機関のうち7大学が順位を上昇。香港を代表する香港大学は、昨年初めて達成した過去最高順位である11位を維持した。また、香港中文大学も過去最高の18位へ順位を上げ、香港から2大学が世界トップ20にランクインする初の快挙となった。
英国:5大学が過去最高順位を獲得。バース大学(125位)、エクセター大学(136位)、ラフバラ大学(203位)、ストラスクライド大学(230位)、ノーサンブリア大学(528位)となっている。
イタリア:イタリアは今回のランキングにおいて、欧州で最も改善が見られた高等教育システムの一つだ。ランクイン大学が10校以上あるシステムの中では、オーストリアに次ぐ改善を示している。ミラノ工科大学は、昨年初めて世界トップ100入りを果たした後、今回さらに順位を上げて世界87位につけた。
ドイツ・スペイン・フランス:いずれもランキングにおける存在感を高め、ドイツから11校、スペインから10校、フランスから7校が新たにランクインした。これは中国本土に次ぐ世界最多級の増加である。EU内ではミュンヘン工科大学が25位で最高位となり、PSL大学が34位でこれに続く。
アラブ地域:大きな躍進が見られ、上位4つの大学すべてが順位を上げ過去最高位を記録。なかでもキング・ファハド石油鉱物大学は、昨年の勢いを維持し、過去最高の63位に入った。これに続くキング・サウード大学も過去最高の107位を記録。カタール大学とUAEのハリファ大学も、それぞれ109位と147位で過去最高順位となった。
ラテンアメリカ:ラテンアメリカでは下降傾向が続いており、同地域の大学の52%が順位を下げ、順位を上げた大学は8%にとどまった。他方、同地域を代表するブエノスアイレス大学は84位を維持し、2年連続で同地域唯一の世界トップ100入りを果たした。チリ・カトリック大学(Pontificia Universidad Católica de Chile)が119位、サンパウロ大学が133位でこれに続く。
南アフリカ:南アフリカは、アフリカの大陸トップ5の座を独占しており、依然としてアフリカ屈指の高等教育拠点であり続けている。ケープタウン大学は順位を34下げて184位となったものの、同地域における最高位の機関としての地位を維持。同じく南アフリカのヨハネスブルグ大学とステレンボッシュ大学は、ともに世界トップ300入りを果たした。
「QS世界大学ランキング2027」では、106の高等教育システムにおける1,500の大学が対象となっている。分析では以下が考慮された。
・2,100万件の研究論文
・2億2,200万件の引用
・160万件の学術調査回答
・8,808の研究機関からのデータ
・121,024人の研究者と69,432人の雇用主からの知見
詳細は下記リンク先より確認できる。
・QS World University Rankings 2027: Top Global Universities | TopUniversities
・QS World University Rankings 2027 results
・PR Newswire|World’s Best Universities Revealed
執筆:坂田拡光(KEI大学経営総研 所長)/編集:山口夏奈(KEI大学経営総研 研究員)


