
情報処理学第88回全国大会レポート「新課程『情報入試』― 2年目の共通テストと広がる個別入試」パネルディスカッション
2単位しかない「情報Ⅰ」を、入試に向けてどのように教えるか
安田先生:
そういった状況の中で、「情報Ⅰ」の履修時期や補習といった授業の運用の仕方や実習で扱う領域、座学と実習のバランスなどについてお話ししていただけますでしょうか。
太田先生:
まず履修する時期については、文科省からは、1年生で「情報Ⅰ」を履修させて、2年生以降で「情報Ⅱ」が選択できるように、という指示が出ているので、感覚としては、1年生で履修している学校と2年生で履修している学校は半々くらいでしょうか。
特に普通科の進学校の場合は、必履修科目をとにかく1年生で終わらせて、2年生からは受験科目中心にシフトする、という傾向があります。これは理科や社会科も同様です。
本校では「情報Ⅰ」は2年生で履修しています。個人的には1年生に置きたいのですが、現場では「『情報Ⅰ』を1年生に置くと、2年生が空白の1年になる」という話が一人歩きして、2年生履修となったところが相当数あるようです。
ただ、一度2年生履修としてしまうと、後から1年生に下ろそうとすると非常勤の教員を置かなければいけない。逆に1年生から2年生に上げようとすると、その教員は1年間授業がなくなってしまう、という問題があります。そのため、一度スタートしてしまうと、履修時期の変更は非常に難しいです。しかも、私が頑張って実績を出せば出すほど、「2年生履修でいいじゃないか」ということになってしまう。これにはいろいろジレンマを抱えながら授業をしています。

授業の進め方として、私はふだんの授業ではほぼ座学はしません。「情報Ⅰ」で思考力・判断力・表現力を身に付けるためには、実習中心の授業をしなければならない。我々高校教員は、よく「教科書を終わらせる」という言い方をしますが、教科書に書いてあることは、全て授業の中で伝えなければならない、と思ってしまうのですね。しかし、全て授業時間内で伝えた上で実習をしようとすると、どう考えても時間が足りない。そして教員がどんなに頑張って話しても、生徒は聞いていないことがあります。
そのために私が実践したのは、教科書の説明は全てVOD(Video On Demand)にすることでした。一昨年、全ての単元の動画を自分で100本以上撮って、これをYouTubeに公開して授業の前に視聴してくることにしています。
YouTubeの再生回数を見れば、生徒がどの程度予習してきているかが分かるので、授業では「こことここだけは見ておいてね」と言い渡して、ほぼ実習のみで進めます。わざわざ学校に来るのであれば、授業では40人が同じことをただ聞くのではなく、同じ時間に、同じ教室にいるからこそできる活動が重要だと考えます。
実習の内容は、教科書ではなく、学習指導要領の内容から想定される題材で行っています。先ほど、昨年の共通テストの問題にワクワクしたという話をしましたが、実は昨年度の共通テストでレシートの分析の問題が出題されましたが、あれと全く同じ実習を授業で扱っていました。また、マウスカーソルの移動距離で「フィッツの法則」も扱っていましたが、これらは学習指導要領に書いてあることなのですね。

そして、毎時間の最後に「振り返りシート」を書かせて、誰かに解説するように記述させることで、授業の目標に対するアウトプットをさせています。ここでは質問も受け付け、良い質問や感想はまとめサイトで共有するようにしています。
テストの解説に関しては、テストを実施したその日に解説動画を出しています。高校では、テストの振り返りとしてよく「解き直し」をしますが、私の授業では、解き直しではなく、「どういうところがポイントだったか」という形でレポートを書かせています。

補習に関しては、本校は平日50分授業なので、月曜と金曜の6限の後に7限を入れる平日補習と。夏期と冬期の補習があります。情報Ⅰは夏期と冬期の補習のみで、1クラス3~4コマずつ入れています。



