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日本学術会議「情報教育課程の設計指針 − 初等教育から高等教育まで(第2版)」を公開

日本学術会議は5月12日、報告「情報教育課程の設計指針−初等教育から高等教育まで(第2版)」(以下、「情報教育課程の設計指針」)を公表した。
「情報教育課程の設計指針」は、初等中等教育から大学の共通教育・専門基礎教育・普遍的事項(※)の教育に至る教育課程における情報教育の指針である。
 ※普遍的事項とは、卒業研究等も含めて、全ての学生が学士を取得するのに相応しい学習内容を指す。

第1版の「情報教育課程の設計指針」は、2016年3月に公開された「大学教育の分野別質保証のための教育課程編成上の参照基準情報学分野」において不足していた、各学校段階の詳細な指針を補うため、2020年3月に初等中等教育から高等教育を網羅した形で公開された。
その背景には、情報学は未だ歴史が浅く、他の学問分野のように体系的な教育課程が確立していないことがある。また、情報学は複数の科学に共通する「メタサイエンス」で諸科学の基盤であることに加えて、社会の制度や情報倫理に関する見識を持つことは、現代市民の必須要件であるため、初等中等教育から高等教育までを包括する教育課程の設計が必要とされたことがある。

第1版でその有用性は認められたものの、近年のAIの急速な発展や、データサイエンス教育の拡大といった社会変化に対応するため、今回の第2版が作成された。

第2版の要点は下記の通りである。
(1)全体の枠組み、および学士力・情報学の参照基準との関連
 ・評価基準の策定:学習指導要領や学士課程の答申に基づき、各段階で要求される能力(知識・スキル・態度等)を検討した。
 ・段階別の区分:小・中学校は全員共通、高校は「全員」と「進学者向け」、大学は「共通教育」「専門基礎」「普遍的事項」等に区分して水準を設定している。
 ・新設カテゴリ:学習内容を下記の12のカテゴリに整理し、今回新たに「X.人工知能」を追加した。

(2) 学習内容・学習水準の整理の俯瞰
12のカテゴリにおいて、内容(A1、A2…)とレベル(L1~L4)を定義し、各学校段階での指針を示している。

(3) 生成AIの扱い
 ・受容と活用:生成AIの影響を重視しつつ、日本学術会議の提言も踏まえた改訂を行っている。
 ・記述方針:用語の陳腐化を防ぐため「生成AI」という特定の用語は極力使わず、「一般的なAI技術の文脈」として「X.人工知能(AI)」を新設してAI技術の内容を大幅に増強し、教育的利用や考慮点を述べている。
  その上で、「自然言語による指示で様々なものを生成できる技術」として、その活用や倫理的影響を整理している。

(4)DX、データサイエンスの扱い
 1. DX:「J.システムとその設計」へ「意図」を追加
  ・DXという用語は多義的なため直接採用せず、「J.システムとその設計」の中でその本質を扱う方針とした。
  ・J1を「システムの意図/役割と構造」とし、単なるICT化ではなく「目的やビジョンに基づき社会に長期的・変革的な変化をもたらす」設計を目指すよう改訂した 。
 2. データサイエンス:「D.データとその扱い」の再編と「D5.実際のデータ処理」新設した
  ・全ての学生にリテラシー教育が求められる社会的状況を鑑み、構成をデータサイエンスの視点から整理した 。
  ・新たに「D5.実際のデータ処理」を追加し、大量データの分析から問題解決の知見を得るための実践的なアプローチを体系化している。


詳細は下記リンク先から確認できる。
・情報教育課程の設計指針 − 初等教育から高等教育まで(第2版)
 https://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf2/kohyo-26-h260512.pdf
・日本学術会議 提言・報告等【報告】
 https://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/division-16.html

Author:小松原潤子(KEIHER Online 編集委員)
編集:阿部千尋(KEI大学経営総研 研究員)

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