
グロービス経営大学院 君島 朋子 研究科長インタビュー
議論を通じて信頼関係を築き、成長を加速させる環境をつくる
--個人の志を語れる状態にまで引き上げる教育は、リーダー育成において極めて重要だと感じます。「志」を磨く上で、仲間との深い対話を通じて、まさに志は他者に伝わる力や実践への自信にも進化されているのですね。そうした、周りの学生とのコミュニケーションを円滑にするための仕組みなどはあるのでしょうか。
君島研究科長:まずは、全てのクラスがディスカッション中心で構成されていること。全員が本音で議論するため、議論を楽しみながら、学生たちは自然と仲良くなっていきます。それぞれが異なるビジネスバックグラウンドを持つということもあり、各テーマに対して「なぜそう考えたのか」という背景の共有していくことが、信頼や深い相互理解につながるのでしょう。
クラス運営においては、常に教員が学生に対して「ここはリスクフリーな場」だということを伝え、心理的安全性を確保することを徹底しています。失敗を恐れずに意見を言える環境が、議論の質を高めるのです。
日常的なサポート体制も充実させています。新入生には、メンターやチューターの役割を果たす先輩がつき、学習や議論の進め方をアドバイスします。また、ホームルームのような「セクション」という場があり、多様なバックグラウンドを持つ仲間と定期的に集まって学びを振り返る機会も設けています。そして、これらのコミュニティづくりを専門にサポートするスタッフも配置しており、随時、学生の相談に乗れる体制づくりなど、円滑な運営を後方から支えています。


--心理的安全性の場づくりは、組織開発の観点からも非常に重要ですね。議論文化と信頼構築が共存する仕組み、学生同士が「本音で語れる関係」は、他大学にとっても示唆がありますね。
5つの独自領域で構成された「実践型MBA」の強み
--一般的なビジネススクールと比較して、グロービス経営大学院のMBAプログラムが持つ特徴や強みはどのような点にあるのでしょうか。
君島研究科長:我々のカリキュラムは、ヒト・モノ・カネという既存のMBAの領域に加えて、5つの独自領域で構成されています。これにより、「知識のインプット」に留まらず「実務に直結するアウトプット」まで一気通貫で学べます。


MBAプログラムに必須の領域である「ヒト・モノ・カネ」。これは、人事組織、マーケティング・戦略、会計・財務、といった経営の定石を獲得するための科目。次に、グロービスの代名詞といえば、「クリティカル・シンキング」。経営を学ぶ土台として、知識を活用するために求められる論理思考力を徹底的に鍛える「思考」領域の科目を設けています。そして先ほどお話しした「志」は、リーダーとしての軸を確立するための、中核となる領域です。それから、テクノベート。これは、テクノロジーとイノベーションを掛け合わせた造語で、最先端の技術を活用して経営を変革する力を養う、現代のリーダーに不可欠な領域です。加えて、事業創造や起業に関する「創造」領域や、DXなどビジネスを抜根的に見直す「変革」領域。また、領域横断的な学びとしてこれまでに学んだ複数の知識を統合し、実際のビジネスプラン作成や企業再生といった、より実践的な課題に取り組む科目も置いています。
こうしたカリキュラムを通じて、実際に在学中に生まれたビジネスプランが本物のベンチャー企業となり、IPO(新規株式公開)に至るケースも出てきています。
グロービスのグループ企業としてベンチャーキャピタルを運営しており、投資家でもある教員が「ベンチャー戦略プランニング」や「ベンチャー・キャピタル&ファイナンス」など創造系科目の教鞭を執ることもあります。教員らは学生たちに「ここに注意しないと、資金調達はできない」などと、実社会と同じ基準で教えています。これは、学びを実践へとつなげる、グロービス経営大学院ならではの強力なエコシステムと言えるでしょう。
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