共通テスト新科目「情報Ⅰ」
一般入試で共通テストの受験が必須となる国公立大学の対応もまちまちである。
河合塾の調査によると、2025年度大学入学共通テストの「情報Ⅰ」について、国公立大の63%が「情報Ⅰ」の配点比(1,000点満点中「情報Ⅰ」の配点は100点=素点)を、本来の10%(100点/1,000点)よりも低く設定するという。
「情報Ⅰ」の配点を素点(=100点)のまま利用する予定の大学は29%、配点比を10%よりも高く設定する大学は8%に留まる。また、北海道大のように、「情報Ⅰ」の受験を必須としつつも得点化はせず、成績同点者の順位決定の際にのみ活用するなど、「様子見」ともいえる動きも見られる。
https://www.keinet.ne.jp/exam/2025/point/kamoku_k_joho.pdf
様子見には別の事情もある。2025年度については、「社会と情報」および「情報の科学」が選択必履修であった旧課程生への対応として、選択問題を含む「旧情報」も出題される。「情報Ⅰ」よりも「旧情報」を受験する方を選ぶ受験生もおり、「どちらを受験するのが有利か」見定めようとする動機が、大学側、受験生側の両方に存在するのだ。
4月に実施された河合塾の「第1回全統共通テスト模試」では、新・旧両課程の教科「情報」が出題されている。成績結果からそれぞれの平均点を見ると、「情報Ⅰ」が56.5点であるのに対し、「旧情報」は67.2点と10点以上もの差が開いている。たしかに、それぞれの受験者数を見ると、「情報Ⅰ」の受験者は約11万8000人、「旧情報」の受験者は約1万人と少なくなっている。したがって、「情報Ⅰ」のほうが「旧情報」よりも、受験者の学力差が大きいことも影響しているのかもしれない。
しかし、「旧情報」には「社会と情報」「情報の科学」の中から、受験生が得意とする分野の選択パターンがある。大問別の平均点を見ると、新・旧ともに「アルゴリズムとプログラミング」の平均点が大きく落ち込んでいるが、「情報Ⅰ」では全分野必答であるのに対し、「旧情報」では、苦手分野を避ける選択が可能である。実際に、受験生の苦手とする「アルゴリズムとプログラミング」分野の選択者は、「旧情報」受験者1万人のうち7%程度にとどまった。その結果、得意分野を選択できる「旧情報」の平均点は10ポイント以上高くなり、「情報Ⅰ」を避けた方が(少なくとも今回の模試では)得策であったことになる。