関西医科大学 木梨 達雄学長インタビュー[中編]
--その点で言うと、貴学では2022年に国際化推進センターを設置されました。
前学長である友田幸一名誉学長が国際化推進センター長に就任され、本学の国際化に向けた道筋を作ってくださったことが非常に大きく、現在は新たな取り組みの拡大を目指して動いているところです。具体的には、国外臨床実習先の拡大や、共同研究をベースとした大学機関レベルの交流を盛んにすることなどが挙げられます。
先般、トリノ工科大学とのダブル・ディグリー制度の締結式でイタリアを訪れた際、周辺のパドヴァ大学やベネツィア大学等にも訪問し、総長と話をしてきました。
イタリアのように、ローマ帝国時代からルネサンスを経て、オリジナリティが文化として強く根付いているような国には、クラフトマンシップ(職人技)と進取の精神に富んだ方々がたくさんいらっしゃいます。研究の規模はアメリカに劣るといえども、そうした点は非常に魅力的です。
先方にとっても、本学が附属病院を持つ大学であることが、連携相手として魅力的なようでした。また、今は経済状況が円安ということもあり、日本への投資もしやすくなっています。そうした追い風もあってか、総長らと話してみると、「是非一緒にやれることがないか考えていきましょう」というスタンスで対応してくださり、正直驚きました。
ミラノ大学、フィレンツェ大学、カターニア大学の総長も、本学の見学に来てくださいました。本学の成長曲線の高さや、研究を重んじ盛んに連携を求める姿勢、中規模大学ならではの判断のスピード感を評価してくださったのだと思います。
特にイタリアの大学は、医療分野での日本進出を考えていますが、取っ掛かりをどこに作ればよいかで頭を悩ませています。現地での足場づくりは、研究をベースとした人材交流から発展していくものです。そのため、そのようなスタンスで大学を紹介すると、非常に興味を示してくださいます。それだけではなく、視察を経て、包括協定の締結にもつながるのです。さらに、研究をベースに両国間の教員と学生の交流が広がっていくと、将来的にダブル・ディグリー制度締結などに発展させることもできます。
加えて、イタリアにはバイオサイエンス系の企業もたくさんあります。彼らも当然、日本医療界への進出を視野に入れているため、例えば本学と共同研究を行ない、関連するプロダクトおよびデバイスの臨床研究や治験を、本学の附属病院で行なっていただけると良いかなと考えています。そのようなシステム作りを今後、積極的に進めていきたいです。