
大学教育のデジタル活用へ向けて:日米の違いからの気づき
幅広い目的で使われるようになってきた G検定/E資格
原田:この検定講座を正課の授業として採用している大学はあるのでしょうか。
竹川:現在は、単位認定というよりも、全学で希望者が資格取得を目指せるという形で導入いただいている大学がいくつかあります。
たとえば、東北大学では、「データ駆動科学・AI教育研究センター」が主催して、AI・データサイエンスの人材育成をする全学向けのプログラムが提供されています。これは、大学の指定する科目を履修して単位を取得した学生に対して、希望者にG検定およびE資格の受験に向けた学習支援を行う、というものです。このプログラムで、zero to oneの学習コンテンツを使っていただいています。
また、慶應義塾大学では、学部・研究科を問わずAI・プログラミング学習を支援するAI・高度プログラミングコンソーシアム(AIC)の活動の一環で、学生がG検定に挑戦しています。
慶應の場合は、企業がスポンサーとなってAICの活動を支援しており、スポンサー企業の社員の方々が、イベントの機会などで企業でのAI活用について事例を共有したり、G検定のプログラムで学生と一緒に勉強したりもしているようです。
スポンサー企業のメリットとしては、このプログラムで勉強した学生を採用する、ということもできますし、社員を派遣して再教育することも可能になります。例えば、当該大学出身の社員が学生と一緒に受講することで、社員と学生の交流が生まれ、企業を学生にPRをすることにもつながるのだと思います。
原田:G検定の教育コンテンツの展開は、学生がオンデマンドで学習して、質問に大学の教員が対応する、というように行われるのですか?
竹川:基本的にはそんな感じですが、オンラインと対面を効果的に組み合わせて実施しています。例えば慶應の場合は、最初のキックオフの講義と、検定試験1~2週間前の直前勉強会は、日吉キャンパスにて対面で行ないます。
キックオフでは、「G検定はこんな意味がある資格で、産業界に求められているから頑張ってくださいね」というような話をして、モチベーションを上げてもらいます。直前勉強会では、あと2週間で何をしたらよいか、といった話をして、受験に備えてもらいます。慶應の学生はなかなか優秀で、前回の試験には30人くらいがエントリーして全員が合格しました(参考:一般的な合格率は70〜80%程度)。


