• オピニオン/研究
  • 複雑・多様化する社会の構造的な課題を提起し、これからの高等教育のあるべき姿などを問い、課題解決の方法を提言していく。

大阪工業大学ロボティクス&デザイン工学部 インタビュー[後編]

中高大連携教育に関する取り組み

井上:常翔啓光学園中学校に、「K1クエスト」という大学連携プログラムがあります。ロボティクス&デザイン工学部では、毎年1年生を対象に、「未来の学校や未来の教室をデザインする」というテーマで、簡単なデザイン思考を体験してもらうワークショップを実施しています。テーマに沿って、デザイン思考のプロセスでアイデアを考えてもらい、最後に、粘土やレゴ、ダンボールを用いて簡単なプロトタイプを作って発表してもらう、3時間ほどのプログラムです。

 「アイデアは夢物語で構わないよ」と伝えているので、彼らからは「校舎が移動する」であったり、「休み時間になったら廊下が自動的に出てくる校舎」といったユニークなアイデアが飛び出してきます。そして面白いのが、そのアイデアを通して、「彼らが学校生活の何に重きを置いているのか」、また「彼らは今、何に困っているのか」といった、彼らの問題意識が図らずも浮き彫りになることです。例えば上記のアイデアに鑑みると、教室間の移動が大変なのだろうことが推察されますよね。


デザイン思考を活用した人材育成への取り組み

井上:「ReBaLe」は「学ぶ」と「創る」が循環する新たなアクティブ・ラーニングの手法で、時代を牽引していく「チェンジメーカー」を育成することを目的としています。

 「ReBaLe」による学びのプロセスを簡単に説明すると、まず、身の回りにある既存の社会システム・製品・サービスなどからターゲットを選び、それがどういう「モノ」や「コト」の要素から成り立っているのかを「ばらし」てみます。「ばらす」ことでターゲットの仕組みや機能が「わかり」、「わかる」ことで次の「まねぶ(真似て学ぶことを表す造語)」に進むことができます。ここまでがいわゆる既存の知識・技術を習得する段階です。

 そして、「まねぶ」ことで得た知識や技術を応用して、社会の課題を解決する新しいアイデアや仕組みを「つくる」。この「ばらす」「わかる」「まねぶ」「つくる」のプロセスを通じて、「チェンジメーカー」を育成していきます。

 今後、「ReBaLe」を授業に体系的に導入することで、「チェンジメーカー」たる学生をよりいっそう育てていきたいと考えております。また、「ReBaLe」を通して、デザイン思考の学びをより多くの方々に提供していきたいです。

 Society5.0を牽引するチェンジメーカー育成手法「ReBaLe」が「情報システム教育コンテスト2018」で最優秀賞を受賞 : 富士通総研 (fujitsu.com)
一般社団法人ReBaLe推進協議会 – 学びのレバレッジ(てこ)で、小さな学びを大きな成果に


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