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  • 国際紛争、大規模災害、少子高齢化など、厳しい状況の中で新しい道を拓くための人材育成・社会貢献に資する大学への期待は大きい。真摯に改革に取り組む大学トップの声を紹介する。

佐賀大学 兒玉 浩明学長インタビュー[後編]

■エピローグ映画を通して世界を知る

特に趣味もなく、日々を過ごしています。ただ、十数年前から努めて映画を見るようにしました。当時は毎年100本を目標にしていたのですが、最近は1年に20~30本くらい見ています。

実はこの作品、アメリカにいた時に何度か見たのですが、当時は内容を理解しきることができませんでした。差別表現が出てくるので、その意味が全く分からなかったのです。帰国後初めて、「ああ、こういう話だったのか」と理解できました。 

『大学で何を学ぶか』(著:加藤諦三、カッパブックス刊、現在はベストセラーズ社ベスト新書に入っている)をおすすめします。著者の加藤諦三さんは啓発書に類する本を多く書かれている先生ですが、その中でも特に有名な一冊です。 

誰にでも読めるとてもやさしい筆致で、非常に含蓄に富んだ内容が書かれています。読む人によって、感じることが少しずつ違ってくるのではないでしょうか。このような考えさせる本を、学生たちには読んでもらいたいと思います。 

現代は、調べたらすぐに答えが出ることが好まれる時代です。しかし、そうではなくて、物事を時間をかけて理解する、そうした経験をする必要があると私は思います。加藤先生のこのご著書も、やさしい筆致でずっと書かれているので、はじめは「何を当たり前のこと言っているのだろう」と思うのですが、読み進めていくと、その中にはやはり、「こうあるべきだ」という主張がしっかりとあります。 

私が一番印象的だったのは、「大学には一流も二流も三流もない。自分の意識でそれが決まるのだ」という記述です。「一流の大学というのは、意識の高い人がたくさんいるところで、三流の大学では、そのような人がやや少ない。しかし、三流の大学にいたとしても、自分の考え次第でそこは一流の大学になるのだ」、というようなことをおっしゃっています。はじめはやはり、「何を言ってるのだろう?」と思うのですけれども、読み進めていくと、「そういうこと」と腑に落ちる。学生たちにも何かそういう本をぜひ読んでもらいたい、読んで理解してもらいたいと思います。


佐賀大学 兒玉 浩明 学長

プロフィール
佐賀大学理工学部化学科卒業、同大学大学院理工学研究科修士課程修了、九州大学大学院理学研究科博士課程修了。
専門分野は生物化学。 

1988年、佐賀大学に着任。1994年、助教授。2009年、教授。
2013~2019年には東京理科大学総合研究機構の客員教授も務める。
2019年10月、佐賀大学学長に就任。 

所属学会: 
日本化学会/日本生化学会/日本農芸化学会/日本ペプチド学会/
アメリカ化学会 /アメリカ生化学及び分子生物学会/アメリカペプチド学会


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