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  • 国際紛争、大規模災害、少子高齢化など、厳しい状況の中で新しい道を拓くための人材育成・社会貢献に資する大学への期待は大きい。真摯に改革に取り組む大学トップの声を紹介する。

関西医科大学 木梨 達雄学長インタビュー[後編]

山登りが好きで、しばしば山に登っています。以前は毎年、奈良の大峯奥駈道を登っていたのですが、コロナ禍で途絶えてしまいました。体力も少し落ちてしまったので、最近はこの近くの交野山のあたりを登っています。非常に優れた森です。

京都の東山、北山などは杉の植林も多いため花粉がよく飛びますが、交野山は国定公園にも指定されている自然林です。また、山中には獅子窟寺という修験道の寺院があり、かつて弘法大師空海もそこで修行をしたと言われています。つまり、この地を起点に、さまざまな文化が育まれていったのです。

交野の地名は、大阪平野の肩に位置するので「カタノ」と呼ばれたことに由来します。豊かな自然に恵まれ、縄文時代からずっと人間が生活してきました。その遺跡もたくさん出てきます。平安貴族の桜狩りの地のひとつという雅やかな側面も有しつつ、もっと遡ると、ここは本当に自然豊かな土地であったのです。学生にはこうしたことも味わってほしいので、入学式等の機会を使いながら、少しずつ、交野ヶ原と呼ばれたこの枚方、交野市一帯が、いかに自然に恵まれた土地であったかをPRしたいと思っています。

交野山は低い山ですので、危険なところはまったくありません。低い山でも楽しみ方はたくさんあるのですが、私が割と探検好きで、人の通る道以外の道を通ってしまうんです。これが私としてはとても楽しくて。自然林なので植林されていないでしょう。そうすると、さまざまな木や花が見られるんですよ。中には滅多にお目にかかれないような植物に出会える時もあります。初秋に出かけた時にはサネカズラの実を見かけました。

良いですよ、そうした自然に親しむことは。紅葉を求めてなど、何か目的のために行くのではなく、ふらっと出掛けてそこでウグイスの声を聞き、心地よい風に吹かれて自然林の中を歩いていると、大学のことをすっかり忘れて素の自分に戻ることができます。それがとても良いですね。


関西医科大学 木梨 達雄 学長

プロフィール
山口大学医学部医学科卒業、京都大学大学院医学研究科 博士課程修了。
免疫学・分子生物学を専門とする医師、医学博士。日本免疫学会評議員。日本分子生物学会員。

京都大学、東京大学で助手として勤務したのち、1999年より教授として京都大学で教鞭を執る。2006年に関西医科大学に着任、2016年、研究担当副学長、2023年に同学学長に就任。

これまでに100本以上の英文論文を発表し、現在も研究担当副学長を兼務し精力的に研究支援活動をおこなっている。
科学技術振興機構 CREST「接着制御シグナルの破綻と自己免疫疾患」、厚生労働省「IgG4関連全身硬化性疾患の診断法の確立と治療方法の開発に関する研究」等にも参加していた。
2005年、第8回日本免疫学会賞受賞。


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