フェリス女学院大学 小檜山 ルイ学長インタビュー[後編]
フェリスは「勇敢なお嬢様」を育成する
--「勇敢」というのは良いですね。プラトンなどが述べた古代ギリシャの徳目の中には「勇気」が入っていますが、最近では、男女問わず、「勇敢さ」「勇気」といったものがあまり重視されなくなっていると思います。
小檜山:私は、フェリスで「勇敢なお嬢様」を育てたいと思っています。お嬢様的なイメージがあるので、それをポジティブにとらえたいけれど、同時に、女性は勇敢でなければいけないと思っているのです。
フェリスの学生の良いところというのは、「明るさ」なんです。私の友人にそう言われました。「フェリスの大学生が来ると周りがパッと明るくなる」というのです。フェリスの学生は、何か華やかなものを持っています。そして、コミュニケーションが上手。このような学生の特徴は失いたくないと思っているし、「失っちゃいけないよ」と友人にも言われました。
ただ強い女を生み出すのではなく、フェリス生の良さを保ちながら、勇敢でもあってほしいと思います。何事にもひるまない、勇敢なお嬢様になってほしいなと思っていますね。
--ただ勇敢で、蛮勇をふるえるとか、喧嘩が強そうだとかというのではなくて、道徳的な意味で、上品な勇敢さがあるというのは重要ですよね。そのような徳を備えているというのは、リベラルアーツの教育の効果と言ってよいのではないでしょうか。
小檜山:そうだと思います。別の友人に、「知性を失わないようにしようね」と言われました。知性を育んで、自分のものの見方に対して自信を持ち、発信に勇敢であってほしいなと思っています。
男社会の中で、男性に可愛がられて自分の役割を果たすのではなくて、男性たちを批判でき、それでいて優雅さも失わないような、そういう女性たちを育てられたらなと思います。
--私も何人かフェリスの学生とお話ししたことがあります。はじめは、お嬢様というイメージがあるのでそういう学生が多いかなと思ったのですが、どちらかというと素直で気取っていない、明るい上品さがあるという感じがしました。
小檜山:本当は、決して初めからお嬢様なんかじゃないんです。そういうイメージがついてきているから、それを利用しようと思っているのですけれども(笑)。実はそうではないんだけれども、明るさや華やかさは持っていると思います。
明るくて真面目で一生懸命なところ、それが良いところですね。真面目というとなんとなく勉強をガリガリするだとか、そういうイメージがあると思うのですけれども、何か任せると一生懸命やるというところがあって、そこが素直さにつながっていくのだと思います。
--社会からのフェリス生への評価については、先生もお聞きすることがありますか?
小檜山:まだこちらに来て間もないので、すべての事例を知っているわけではないのですが、いわゆる一般企業で活躍する方はたくさんいます。学術方面で優秀な方は、例えば立教大学の文学部でアメリカ文学を教えている新田啓子さんなどは、まさに輝く知性ですね。
他にも、故・松岡正剛さんが興した編集工学研究所の現社長である安藤昭子さんもフェリスの卒業生です。彼女が書いた本も読みましたが、非常に知性豊かな方ですね。