
共立女子大学・共立女子短期大学 学長 佐藤雄一氏インタビュー:変革する社会における「共立リーダーシップ」の真価と、女子教育の未来
6. 女子大学の使命:ジェンダーギャップを超えるための「4年間の避難所と訓練所」
大学淘汰の時代にあっても、佐藤学長は「女子大学」の戦略的必然性を強調する。社会にジェンダーギャップが厳然として存在する限り、女子大学は才能を掬い上げるシェルター(避難所)であり、同時にあらゆる役割を自ら担う訓練の場として機能する。ジェンダーバイアスを排除した純粋な自己成長の場こそが、自立する女性を育む最短距離となるゆえんである。
インタビュアー: 共学化が加速する中で、あえて女子大学としての看板を守り抜くことの社会的使命をどうお考えですか。
佐藤: 社会にジェンダーバイアスがある以上、残念ながら、共学の場では埋もれてしまう才能があります。女子大学という環境では、リーダーも裏方も、すべての意思決定を女性だけで行わなければならない。この「4年間」という時間は、男性の目を気にせず自分の力を純粋に蓄えるための、極めて贅沢で必要な訓練の場なのです。
インタビュアー: 社会という荒波に出る前の、一種のシェルター(避難所)のような役割ですね。
佐藤: はい。この「ジェンダーバイアスのない場所」で培った自己肯定感があるからこそ、卒業生たちは社会のいかなる逆境でも自分を失わずに済む。この価値を、今後は在学生の教育に留めず、卒業生や地域社会を含めた「学びのプラットフォーム」へと拡張していきたいと考えています。
7. 都市型コミュニティハブとしての大学:卒業生・地域との新たな接続
18歳人口の減少という厳しい現実に直面し、大学経営には多角化が求められている。佐藤学長は、神保町・大手町に近い都心の一等地という立地を活かし、大学を「コミュニティハブ」へと再定義する構想を描く。リカレント教育を単なる技能習得としてではなく、精神的な「リトリート(回復)」やアイデンティティの再確認の場として提供するアイディアだ。
インタビュアー: リカレント教育や地域連携において、都心という立地をどう活用していくお考えでしょうか。
佐藤: 本学は都心の中心に位置しています。この利便性を活かし、卒業生組織「櫻友会」との接続も深化させたい。例えば、60代の卒業生が「スマートフォンの活用」をきっかけに大学へ戻り、そこからよりアカデミックな学びへ繋がっていくような世代別のチャンネルの構築ができればと考えています。
また、本学で学んだ先輩方が、若者の「リーダーシップ」教育を支援するためのプラットフォームとして、「共立リーダーシップ®募金」も開始されました。世代が次の世代とつながり、学びの継承を行っていく。大学も、このような仕組みの「ハブ」になっていく必要があります。
インタビュアー: 大学は若者だけが学ぶ場ではないとすると、そこには単なる「スキルアップの場」という意味を超えた価値が必要になりますね。私は社会人向けの読書会を運営した経験があるのですが、社会人の独自の活動の場合、開催場所を探すのがとても大変だったという経験があります。
佐藤: たとえば、社会人の方が読書会を開く際、喫茶店や民間の会議スペースなどではなく、母校の教室を精神的な拠点として選べるようにできるといいですね。本学の場合、夏休みにカフェを地域に開放する試みを始めていますが、こうした取り組みの一環です。大学が、働く女性たちの「精神的なリトリート」の場、自身のアイデンティティを再確認できる場所になること。それが、都市型大学の新たな存在意義だと言ってもよいのではないでしょうか。
インタビュアー: 組織がこうした「場」を提供し続けるには、教職員の方々の意識も重要になりますね。
(次ページへ続く)


