オピニオン/研究

複雑・多様化する社会の構造的な課題を提起し、これからの高等教育のあるべき姿などを問い、課題解決の方法を提言していく。

学長アンケート2024-2025【大学の基本情報】

このページでは、2024年度(2024-2025)調査に参加した大学の基本情報=プロフィールをまとめています。


■ 「全国国公私立大学学長アンケート2024-2025」概要

【調査目的】

1.大きな環境的変化にさらされている大学の取り組みを集計・分析し、今後の大学経営へのヒントを提供する

少子化や財政構造の変化、国際競争の激化など、大学を取り巻く環境が大きく変化する中で、各大学の課題認識と、それらへの取り組み状況を明らかにし、経営改善や中長期計画立案の参考となる知見を提供します。

2.全国的な傾向や課題を可視化し、大学間の情報共有と相互理解を促進する

個々の大学だけでは見えにくい全国規模の動向や課題を俯瞰的に捉えることで、大学間の連携や協力、ベンチマーキングの契機をつくります。

3.大学と社会の対話を深め、より良い高等教育政策の形成に資する機会を提供する

学長の視点から得られたデータを広く社会に発信し、政策立案者や企業、市民との建設的な議論を促すことで、持続可能で質の高い高等教育の発展に寄与します。

【調査期間】

2025 年1月8日(水)~2025 年3月 31 日(月)

【調査実施方法】

インターネット調査・郵送調査
※アンケート画面のURL(QRコード)と質問票を郵送、ウェブサイト上で回答または郵送にて回答

【調査対象】

全国の国公私立大学 786 校に送付。
有効回答数:345 大学(回収率 43.9%)

【調査項目】

Ⅰ.大学の基本情報
Ⅱ.大学経営のビジョンおよび未来の大学
Ⅲ.学生の変化
Ⅳ.学生募集・広報
Ⅴ.入学者選抜
Ⅵ.大学の国際化


「I. 大学の基本情報」に関する集計結果

この部門では、回答大学の基本的な属性情報に関する質問項目の集計結果を示します。

1. 設置者種別(I-2)

KEI調査 N=345

設置者種別件数構成比(%)
A.国立大学法人4412.8%
B.公立大学・公立大学法人5315.4%
C.私立大学(株式会社立含む)24871.9%
合計345100.0%
回答大学の設置者種別は「私立大学(株式会社立含む)」が最も多くを占めている。本調査と同年度の5月に実施された「令和6年度学校基本調査」の確報値では、本邦全体で812大学、国立が85大学、公立が103大学、私立が624大学となっており、本調査の回答大学の設置者種別の比率と近いものとなっている。

(参考)学校基本調査 令和6年度版 N=812

設置者種別件数割合(%)
国立8510.5%
公立10312.7%
私立62476.8%
合計812100.0%

2. 通信課程の有無(I-3)

KEI調査 N=345

回答件数割合(%)
なし32594.2%
あり185.2%
通信課程のみ20.6%
合計345100.0%
多くの大学は通学制(対面)を主軸とした教育形態を維持しているが、デジタル化が進む現代においては、通信制課程やオンライン教育への投資や導入の可能性についても検討の余地がある。

3. キャンパスの所在地 (Ⅰ-4)

KEI調査 N=400(同大学・複数キャンパスをそれぞれ1件と数える母数(N)は「選択された所在地の総数」)

都道府県・地域(多い順)件数割合(%)
東京都5914.8
北海道266.5
大阪府235.8
愛知県235.8
神奈川県225.5
千葉県215.2
福岡県184.5
兵庫県164.0
埼玉県164.0
京都府123.0
新潟県112.8
広島県102.5
静岡県92.2
宮城県82.0
群馬県82.0
岡山県71.8
石川県71.8
愛媛県61.5
滋賀県61.5
熊本県61.5
三重県51.2
奈良県51.2
岐阜県51.2
栃木県51.2
茨城県51.2
長野県51.2
青森県51.2
山口県41.0
岩手県41.0
福井県41.0
香川県41.0
和歌山県30.8
大分県30.8
宮崎県30.8
山形県30.8
福島県30.8
長崎県30.8
富山県20.5
山梨県20.5
徳島県20.5
沖縄県20.5
海外20.5
秋田県20.5
鹿児島県20.5
島根県10.2
高知県10.2
鳥取県10.2
合計400100.0

都道府県の北から並べる

都道府県・地域(北→南)件数割合(%)
北海道266.5
青森県51.2
岩手県41.0
秋田県20.5
宮城県82.0
山形県30.8
福島県30.8
新潟県112.8
栃木県51.2
群馬県82.0
茨城県51.2
埼玉県164.0
千葉県215.2
東京都5914.8
神奈川県225.5
富山県20.5
石川県71.8
福井県41.0
山梨県20.5
長野県51.2
岐阜県51.2
静岡県92.2
愛知県235.8
三重県51.2
滋賀県61.5
京都府123.0
大阪府235.8
兵庫県164.0
奈良県51.2
和歌山県30.8
鳥取県10.2
島根県10.2
岡山県71.8
広島県102.5
山口県41.0
徳島県20.5
香川県41.0
愛媛県61.5
高知県10.2
福岡県184.5
長崎県30.8
熊本県61.5
大分県30.8
宮崎県30.8
鹿児島県20.5
沖縄県20.5
海外20.5
合計400100.0

4.学部の設置数(I-5)

度数分布(学部数:件数)

学部数件数
1105
254
341
438
525
622
716
811
910
108
114
125
142
152
161
231
総件数(N):345
合計:1,308
平均:3.79
中央値:3
最小値:0
最大値:23
最頻値:1(105件)
*最小値0は、大学院のみの大学。学群制を取っているところは専攻数を学部数とした。

5.設置している学部系統(I-6)

学部系統件数
A. 文・人文187
B. 社会・国際131
C. 法・政治80
D. 経済・経営・商156
E. 教育-教員養成課程(国公立大のみ)35
F. 教育-総合科学課程(国公立大のみ)5
G. 理63
H. 工(「建築」「船舶・海洋」を含む)97
I. 農(「獣医」「水産」を含む)43
J. 医・歯・薬・保健160
K. 生活科学(「被服」「児童」「住居」を含む)60
L. 総合・環境・情報・人間81
M. 芸術・スポーツ科学67
設置学部数の多寡は専門分野の幅を示しており、学生への選択肢の提供や、学際的な連携の機会に影響を与えている。

(1)複数学部を持つ大学数
回答した大学のうち、学部系統の選択肢が 2つ以上ある大学の数は、235大学(全345のうち約68%)となっています。単科の大学よりも、2学部以上を持つ大学が多いのが特徴です。

(2)学部系統の組み合わせパターン

順位組み合わせ例件数
1A(人文) × B(社会)9
2A(人文) × K(生活科学)7
3A(人文) × J(医・保健)7
4A × B × D(人文・社・経)5
5A × B × C × D(人文・社・法・経)5
6A × J × K(人文・医・保健・生活)4
7A × C × D(人文・法・経)4
8G(理) × H(工)4
9H(工) × J(医・保健4
10A (文) × D(経)4


(3)公立/私立の学部系統傾向

設置者種別から、学部系統カテゴリをそれぞれ合算しました。

① 公立(国立+公立)大学の特徴(件数の多い順)

学部系統件数
J(医・歯・薬・保健)52
H(工)44
A(文)40
D(経済・経営)39
E(教員養成)32
I(農)26
G(理)26
大学の公共ミッションが反映されており、医療系・工学系・教員養成が強い。農学も国公立が多いのが特徴。私立に比べて、職業分野(医療・工学・教育)が多い。

① 私立大学の特徴(件数の多い順)

学部系統件数
A(人文)147
D(経済)117
J(医・保健)108
B(社会)103
C(法)58
L(総合・情報)55
H(工)53
K(生活科学)51
M(芸術・スポーツ)49
日本の大学は私立が多いのが特徴だが、その中でも文系が圧倒的に多い(A・D・Bがトップ3)。生活科学系・芸術系も私立が多いが、近年は、情報・環境系も増えている。

6. 収容定員(I-7)

区分件数構成比(%)
A.1,000人未満8925.8
B.1,000人以上3,000人未満12235.4
C.3,000人以上5,000人未満4412.8
D.5,000人以上10,000人未満5515.9
E.10,000人以上3510.1
合計345100
収容定員は大学の経営規模や地域社会への影響度を示す重要な指標だが、規模ごとに各大学が抱える課題や強みは異なることに注意を向ける必要がある。


次の記事は、こちら
大学の社会連携はどうあるべきか  ~大学経営のビジョンおよび未来の大学


分析・記事 原田広幸(KEI大学経営総研)

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