学生中心で進化する大学教育DX 学びの楽しさを核に

「世界の笑顔の総数を増やす」ための教育

竹川:そこは、本当は学生のことを第一に考えてやるべきであるのに、連携や共通化よりも、生存競争が優先されてしまっている気がしてしまいます。

学生のことを考えたら、デリバリーの仕方には、対面授業以外にも、さまざまなメソッドがあって然るべきです。もっと言えば、大学入試の仕組みや、学生のレベルと教育内容のミスマッチ、新卒一括採用や、大学名だけで学生を採用する企業文化など、本当に深いところに構造的な問題があると思います。

竹川:大事なのは、「学ぶことは楽しい」と知ることだと思います。「楽しい」というのは、例えば、新しい知識がつくから楽しいということもあれば、仕事に使えるから、社会の役に立っているから、学問的な知的好奇心が満たされるから等など、いろいろな形があると思います。だから、新しいことを学ぶのは楽しい、という根本に戻って考えられたら、社会はもっと良くなるんじゃないかな、と常々思っています。

zero to one の目指す学びのサイクル

正直なところ、自分たちで教えていても、とくにAIの分野はテクノロジーの変化が速すぎて、今学んでも、もしかして3か月後には役に立たなくなるかもしれないと思うことがあります。しかし、それを学んで楽しい、という気持ち自体は変わらないですよね。学んでよかった、学んだからわかった、楽しかったという気持ちがあれば、3か月後に新しいものが出て来ても、またそこで学びつづけることができます。

ですから、教育者は、そういった根本に立ち返って、「学んで楽しい」と思ってもらえるように、「アウトプットとしてこんなことができるようになるんだよ。すばらしいね」ということを伝えることが大事だと思います。先ほどもお話しした、大学組織としての「学生のために」という理念は、学生が本当に学んで楽しかった、役に立ったと実感することこそがゴールだと思いますし、学校側も教員側もそうなることが理想だと思います。

私自身は、人生のミッションは「世界の笑顔の総数を増やす」ということにあると思っています。これからも、そのミッションにつなげるような取り組みをしていきたいと考えています。

(終)

前編記事(vol.1)はこちらから


zero to one 東京オフィスにて取材

◆ 竹川 隆司 氏 :株式会社 zero to one(ゼロ・トゥ・ワン) 代表取締役CEO
野村證券にて国内、海外(ロンドン)に勤務。2006年ハーバード大経営学修士(MBA)。2011年より米国ニューヨークにてAsahi Net International, Inc.を設立。同社代表取締役として、高等教育機関向け教育支援システム事業のグローバル化を推進。2014年より一般社団法人インパクトジャパンにて、エグゼクティブ・ディレクターとして、カタールフレンド基金の支援を受けた、東北での起業家育成・支援プロジェクト「INTILAQ」(インティラック)を主導、仙台市にイノベーションセンターを設立。2016年1月、INTILAQ東北イノベーションセンターに登記第一号企業となる「株式会社 zero to one」を設立。同年、日本最大のMOOCプラットフォームgaccoにて、初めての地方創生コースを開講。

株式会社 zero to one(ゼロ・トゥ・ワン)

インタビュアー:原田 広幸(KEI大学経営総研)
編集:小松原 潤子(KEI大学経営総研)

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