東洋大学 総合情報学部 心理スポーツ情報専攻
Q: 心理学の分野、とくに心理療法についてはどういう研究、学びがあるのでしょうか。
加藤:この分野は、私の専門分野であり、学部でも取り扱っている分野です。多くの心理療法があり、各クライエントにあったものを選ぶことが大切ですが、その中でも、箱庭療法について取り上げます。箱庭療法とは、心理療法の一種で、砂やミニチュアの玩具が入った箱の中で、自由に何かを表現する作業を行ないます。最近では、箱庭を作った後、それを3Dで撮影して半透明化したり、反対側から見られるようにしたり、3Dの技術を使うようになっています。こうすることによって、クライアントもカウンセラーもカウンセリングの振り返りが容易にできるようになります。また、箱庭のアイテムも、3Dプリンターで簡単に作ることができるようになりました。さまざまな組み合わせができるようになります。
加藤:3D技術を使った研究は今まだ始まったばかりで、効果検証のための論文を出しているという段階です。箱庭療法では、今でもカウンセラーが主観的に見て判断することがほとんどですが、そこに客観的手法のメスを入れるような仕組みを構築することを目標としています。
心理学・心理療法の分野はさまざまな技法がありますが、他のアートセラピーでも、AI技術の導入を進めています。たとえば、クライアントに絵を描いてもらい、描画を解析して、色の使われ方を客観的に分析する。ダンスやヨガの動き、変化を解析し、心身の相関を分析する。高齢者の方の動作解析では、すでにAIが使われています。
つまり、本専攻では、情報における専門性に加え、心理学を深く学ぶ、人の心を理解することができる、というのもポイントです。
Q: 最後に、心理・スポーツ情報専攻の今後の学びについて、長期的なビジョンがあればお聞かせください。
加藤:先ほど、この専攻は4領域に分かれていると説明しましたが、これらに加えて、「マーケティングリサーチ」に特化した領域など、今後も領域が増える可能性はあります。2025年度の人材養成ニーズでは4領域ですが、今後もニーズの変化は起こります。それに合わせて、増やしたり、偏りがあったりした場合には一つの領域を二つに分けるなど、さまざまな可能性を、将来展望として検討しております。
東洋大学・総合情報学部へのリンク:総合情報学部|東洋大学公式サイト (toyo.ac.jp)
インタビュー・構成:原田広幸・阿部千尋(KEIアドバンス コンサルタント)