• オピニオン/研究
  • 複雑・多様化する社会の構造的な課題を提起し、これからの高等教育のあるべき姿などを問い、課題解決の方法を提言していく。

東洋大学 総合情報学部 心理スポーツ情報専攻

加藤:まず、私は、DEI、「Diversity(多様性)」「Equity(公平性)」「Inclusion(包括性)」を推進しています。私がこの学部に着任したときは、女性教員が1人しかいませんでしたが、今はだいぶ増えています。女性をあえて多く取れということではありませんが、やはり、大学でも企業でも、性別や国籍に関係なく、多様な人を選ぶということが大切だと考えています。また、外国籍の先生もおります。 

学生にしても、例えば学校で不登校になったような人も、ぜひ本学科・専攻にチャレンジしてほしいですね。そういう人にもチャンスを、といつも思っています。たとえ何歳からであれ、たとえ障害があっても、どんな人でも、人間には可能性があります。その意味でも、やはり大事なのはDEI。大学もこれに長い間力を入れておりまして、川越キャンパスでは初めて女性学部長にしていただいたという経緯もあります。 

実は、総合情報学部のテーマは、「ウェルビーイング」なのです。では、ウェルビーイングとはなにか。ウェルビーイングに近い概念として、たとえば、ポジティブ心理学のマーティン・セリグマンが提唱した幸福の構成要素「PERMA」というのがあります(P=ポジティブ感情:Positive emotion、E=熱中: Engagement、R=人間関係:Relationship、M=意義:Meaning、A=達成感:Achievement)。「ウェルビーイング」は、こういったものも、「DEI」も、「ウェルネス」(身体が健康である状態)も、すべてを含んだ大きな概念です。 

ウェルビーイングは、「幸福」などと訳さずに、外来語として横文字のまま使われることがほとんどです。なぜそうかというと、ウェルビーイングという言葉にぴったりと対応する日本語がないからです。そもそもこれまで、日本になかった考え方なのです。「心の健康」という意味だけでなく、もっと広い意味を、世界的に包括して表現しています。ですから、よく(Well:ウェル)、そのままの生きる状態(Being:ビーイング)、をつなげて、「ウェルビーイング」と呼ぶのが一番しっくりとくる。そういった包括的概念がもともと日本にはないことと、また、外来語であるからこそ心に響きやすく、グローバルなレベルで新しいものを構築していこうという考え方も含めた意味で、「ウェルビーイング」と言っています。

加藤:もちろん可能です。実習や演習で計算を行なうことがあっても、実際はコンピューターがやってくれるので、数学をあまり勉強せずに入学してきた学生たちでも、原理を理解し、ソフトを使うことで、複雑な計算もできるようになります。もちろん、「平均」の出し方のような基本的な考え方自体は理解する必要がありますが、どの学生も、今のところ問題なく履修できています。そのこともあって、とくに心理スポーツ情報は、文系の学生が圧倒的に多いです。実に7割が文系出身です。卒業する頃にはソフトを駆使するになっていますね。苦手意識を持たないで来てほしいと思います。 

入試の観点、受験をする学生の観点から見ても、本専攻は非常に多様な人を受け入れています。 

専攻内の学びは4領域で完全に分かれています。心理学だけをしっかり学びたい人は、スポーツの科目を取らなくても構いません。スポーツだけを専門に学びたい人は、心理学の科目を取らなくても卒業できる。全体として、すべてが統合されていて、すべて学べるけれども、別々に分かれて学ぶことも可能です。文系学生だけでなく、留学生、外国人アスリートも受講できるように、英語での授業はもちろんサポート体制を充実させております。英語オンリーの授業もあります。


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