立命館大学デザイン・アート学部/デザイン・アート学研究科(仮称)インタビュー[後編]
■新学部の存在が子どもたちの将来像の気づきにつながることへの期待
Q:アートが好き、きれいなものが好き、美的センスを大切にしたい等の気持ちはあるものの、自身の将来像や進路が漠然としている受験生は少なからずいるように思います。このような自身の将来像がやや曖昧な受験生に対して、新学部はどのようなスタンスをとるのでしょうか。
八重樫:若い時に持つ将来像の曖昧さについて、周囲はみな「曖昧である」という一言で片付けてしまっているというか、そこで思考停止してしまっているように私は思います。しかし、この「曖昧である」ということは、裏を返せば、「既存の学問分野に自分の望む選択肢がない」ことを表わしているのかもしれません。
その点において、彼ら/彼女らに新学部のコンセプトを投げかけてあげることにより、「自分のやりたいことはデザインだったんだ」、「自分のやりたいことはアートに関わることだったんだ」といった気づきを与えられる可能性があります。新学部の存在が、彼ら/彼女らの道を拓くきっかけになるのならば、大変嬉しく思います。
Q:貴学部の存在を知り、進学を希望する受験生もたくさん出てくると思います。その一方で、進路指導の先生や親御さんは、どうしても自身が育ってきた時代の進路や生き方をひな形として考えてしまうため、貴学部のような新しい進路があり得るということを、子どもたちにうまく教えられない可能性もあるように感じました。その点で、高校生に貴学部のような新しいパスがあることを伝えるのにはご苦労がありそうだと推察されるのですが、いかがでしょうか。
八重樫:ご指摘いただいたことは、我々も懸念している部分です。しかし私は、大学である以上は、やはり新しいことに挑戦すべきだと思いますし、社会に新しい学問や研究を問うていくことこそが、大学の役割だと考えています。既存の学問や社会にとって既知のものだけをトレースしていくのは、大学の真の在り方ではないと思うのです。常に新しい大学像を目指しているという姿勢をしっかりと示すことが、社会に対して一番響くところなのではないでしょうか。