武蔵大学 国際教養学部 東郷 賢 学部長インタビュー

■ ロンドン大学と学ぶ「パラレル・ディグリー・プログラム(PDP)」とは何か 

ロンドン大学と武蔵大学、2つの学位を“並行して”目指す 

東郷学部長:PDPは、ロンドン大学と武蔵大学の学位を、日本にいながら並行して目指す日本初のプログラムです。 

専門課程については、ロンドン大学を構成するカレッジの一つで、社会科学分野で世界的に知られるロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)が学術監修(academic direction)を担い、カリキュラムの設計や試験問題の作成・採点まで行います。私たち武蔵大学の教員は、ロンドン大学から認可された「Recognised Teaching Centre」として、そのカリキュラムを日本の教室で教えています。 

卒業時に学生が手にするのは、武蔵大学の学位記とロンドン大学の学位記の2つ。ロンドン大学側の学位証には、ロンドン大学とLSEのシンボルマークが並び、「LSEが学術監修を行ったプログラムである」ことが明示されます。学生は文字通り、「武蔵大学とロンドン大学の卒業生」になるわけです。 


国際教養学部・経済経営学専攻(EM専攻)を軸に展開 

東郷学部長:国際教養学部には現在、「経済経営学専攻(EM専攻)」と「グローバルスタディーズ専攻(GS専攻)」の2専攻があります。PDPはこのうちEM専攻を軸に展開しており、ロンドン大学の英語基準を満たした希望者であれば、誰でも履修を目指すことができます。 

EM専攻では、授業は原則として英語で行われ、経済学・経営学・統計・計量経済学などの専門科目を、世界水準のカリキュラムで学びます。ロンドン大学側のプログラムとしては、 

 ● BSc Economics and Management(経済経営学士号) 
 ● BSc Economics(経済学士号) 
 ● BSc Data Science and Business Analytics(データサイエンス&ビジネスアナリティクス学士号)  

といった学士号を目指すことができ、高度な英語力と数量的リテラシー、グローバルなビジネス感覚を兼ね備えた人材育成を目標としています。 

PDP授業中の写真
PDP 授業の様子(大学提供)

「4+1年」の学びを前提にした設計

東郷学部長:PDPに参加する学生は、4月に武蔵大学に入学した後、6〜7月に集中的な英語研修を受け、並行してIELTSなどの英語試験に挑戦します。8月末までにIELTSオーバーオール5.5(各技能5.0以上)相当の英語力を身につければ、9月からロンドン大学のインターナショナル・ファウンデーション・プログラム(IFP)に進みます。 

その後は、 

 ● 1年目:IFP(基礎課程) 
 ● 2〜4年目:BSc(専門課程3年間) 

という構成で、ロンドン大学の学位取得を目指しながら、武蔵大学の専門科目やゼミも履修していきます。授業は9月始まり・翌年5月試験というロンドン大学の学年暦に準拠しているため、日本の大学とは異なる時間軸で学ぶことになります。 

ロンドン大学の単位取得には4年と1か月以上を要するため、武蔵大学ではPDP履修者を対象に「卒業延期制度」を設けています。5年目に当たる期間については、春学期・秋学期ともに授業料が免除となり、維持費は春学期が免除、秋学期が半額負担となります。制度の詳細は、武蔵大学公式サイトの経済経営学専攻カリキュラムページ(カリキュラム|武蔵大学 国際教養学部 経済経営学専攻)でも確認することができます。

標準修業年限は4年ですが、「必ず4年で卒業しなければならない」と考える必要はありません。そもそも、高校生でなにを専門としたいか決めるのは難しいので、大学の学びは1つの専攻を4年で卒業は必須ではなく、様々な分野をもっと年数をかけて学んでもいいと考えています。 

大学としても、転学部・転専攻できる環境を将来的には整備していく必要があると考えています。PDPの場合は、ロンドン大学の成績確定を待ちつつ、自分のペースで武蔵大学の卒業要件を整える「4+1年」の学びを前提に、戦略的に5年間を設計する選択肢が現実的です。むしろ、5年間を視野に入れて腰を据えて学ぶスタイルこそ、このプログラムの特性に合っていると言えるでしょう。 

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