
論文被引用数が多い研究者の43%が世界70機関に集中――データが示す「中国の急成長」と「研究力の寡占化」
本記事は、『University World News』にて掲載された記事をもとに作成しています。
学術情報分析企業クラリベイト(Clarivate)のが発表した最新レポート『Research Powerhouses: The top 70 institutions home to Highly Cited Researchers (2021-2025)』により、世界に多大な影響を与えた「高被引用研究者(HCR)」が、ごく一部のトップ研究機関に極端に集中している実態が明らかになりました。
同調査によると、世界の全研究機関のわずか3.3%にあたる70機関(65大学・5国立研究所)が、HCR全体の43.3%を占めています。さらに、中国科学院(3.6%)を筆頭に、ハーバード大学、スタンフォード大学、米国国立衛生研究所(NIH)、清華大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)の上位6機関だけで、全体の12.1%を独占している状況です。
国別で見ると、米国がHCR全体の40%を占めて依然としてトップを維持しているものの、注目すべきは中国の急激な台頭です。中国は13.6%で世界第2位に躍進し、化学、コンピューターサイエンス、工学、材料科学の4分野では、高被引用論文の産出数で米国を上回っています。一方、米国は物理学、臨床医学、生物学、経済学などの分野で圧倒的な優位性を保っており、国別第3位には英国が続いています。また、研究者人口比で見ると、スイスやデンマークといった欧州の小国が高いパフォーマンスを示している点も特徴です。
同社の担当者は、潤沢な資金と安定した環境を提供するトップ機関への「研究力の集中」が世界の学術界を牽引していると指摘する一方で、資金提供モデルや組織構造の急激な変更には注意が必要だと警鐘を鳴らしています。なお、今回のデータは過去5年間の平均に基づく遅行指標であるため、2025年に発足したトランプ政権下でのNIHの予算削減などの影響はまだ反映されておらず、米国における環境変化の影響がデータとして現れるには数年を要すると見られています。
【引用元】
70 institutions globally field 43% of highly cited awards
媒体名:University World News
記事名:70 institutions globally field 43% of highly cited awards
執筆者:Nathan M Greenfield
リリース日:3/1/2026 第867号


