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国立大学法人等の施設を「共創」と「地域の防災」の拠点へ 文科省、「第6次国立大学法人等施設整備5か年計画」を公表

令和8年(2026年)3月31日、文部科学省は、「第6次国立大学法人等施設整備5か年計画」を公表。2026年度から2030年度までの5年間における、国立大学法人等の施設整備および施設マネジメントの方向性について示した。総整備目標は約820万平方メートル、所要額は最大約1兆4,500億円と推計されている。なお、この所要額には、各種補助金のほか、産業界等からの支援および寄付金など、多様な財源が含まれる。


本計画では、国立大学法人等の施設が目指す2つの方向性が掲げられている。一つはキャンパス全体の「イノベーション・コモンズ(共創拠点)の実装化」である。「イノベーション・コモンズ(共創拠点)」という概念は「第5次国立大学法人等施設整備5か年計画」で初めて提唱されたもので、キャンパス全体が有機的に連携し、あらゆる分野や場面で、あらゆるプレーヤーが「共創」できる拠点と定義されている。これまで個々の施設での取り組みにとどまっていた「共創拠点」への転換を、キャンパス全体へと面的に拡大させ、多様な活動の相乗効果を生むことにより、更なる成果の創出を目指す。

具体的には、研究者や学生等が創造性を発揮できる空間づくりを進めるとともに、産学連携の場となるインキュベーション施設の拡大や、大学発スタートアップ創出基盤の強化、キャンパスの「社会実験場」としての活用など、地域や産業界との共創活動を促進するという。また、その際の留意点として「研究インテグリティ」や「研究セキュリティ」の確保が明記されている。

もう一つの方向性が「地域の防災拠点の実現」である。災害時に学生や教職員の命を守り、教育研究活動を継続できるようにするだけでなく、地域住民の避難所としての役割や、災害拠点病院としての機能を確実に発揮できるよう、耐災害性と防災機能の強化を推進する。


5年間の整備目標約820万平方メートルのうち、既存施設の性能維持改修や戦略的リノベーションといった「老朽改善整備」が約780万平方メートルと、全体の大部分を占める。ただし、利用頻度の低い老朽化した施設は計画的に取り壊し、大学法人の規模に応じた施設総量の抑制と適正化(保有面積の総量最適化)も進める構えだ。

「新増築整備」については、既存施設の有効活用等のみでは対応困難な「真にやむを得ないもの」に限定され、約15万平方メートルに抑えられた。このほか、キャンパス全体の強靱化を目的とする「ライフラインの更新」(配管・配線約2,200km、設備機器約3,500台)や、「大学附属病院の整備」(約25万平方メートル)も計画されている。

文部科学省は、国立大学法人等の施設を、我が国の高等教育と学術研究の水準を向上させる「国家的な資産」であり、地域の貴重な「公共財」であると位置づける。そのうえで、その施設整備の財源は、文科省が予算の安定的確保に努めるのみならず、国立大学法人等にも「地方公共団体が行う支援や、企業や個人からの寄付金など、多様な財源の確保に積極的に取り組む」よう求めている。


詳細は下記リンク先から確認できる。
文部科学省|「第6次国立大学法人等施設整備5か年計画」の公表について

執筆:山口夏奈(KEI大学経営総研 研究員)

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