
『美的経験と個性 ジョン・デューイと教育・デモクラシー・芸術をめぐる思想』西本健吾 著(勁草書房刊)
『美的経験と個性 ジョン・デューイと教育・デモクラシー・芸術をめぐる思想』西本健吾 著(勁草書房刊)
調和的な全体性から逸脱する「個性」概念の意義を立体的に浮かび上がらせデューイ思想をその限界を踏まえてなお読み広げる道を探る。
■本の内容
本書では、デューイの思想における教育・デモクラシー・芸術の連関を考える上で、美的なものの政治的危うさとデューイ思想の調和的性格とが問題となることを指摘。両者の結合によってデモクラシーの同質性が強化され対立や葛藤を排除しかねないことを論じ、「個性」概念がそれに応答する手がかりとなることを多様な角度から論じる。
■著者:
西本健吾(にしもと けんご) 1991年神奈川県に生まれる。2022年東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(教育学)。現在:東海大学資格教育センター助教。共著書:『記憶と想起の教育学』(勁草書房,2022年)ほか。主論文:「1930年代デューイ思想における政治と美の緊張関係」(『教育哲学研究』115、2017年、教育哲学会奨励賞受賞)、「ブラック・マウンテン・カレッジ初代学長J. A.ライスの芸術教育思想」(『教育学研究』87(3)、2020年、日本教育学会奨励賞受賞)。
目次
はしがき
序 章 ジョン・デューイの教育・デモクラシー・芸術をめぐる思想とその陥穽
第一節 はじめに
第二節 デューイの教育・デモクラシー・芸術についての思想
第三節 本書の課題①──美的なものの「媒介機能」の問題
第四節 本書の課題②──デモクラシーの調和的性格をめぐる問題
第五節 なぜ個性をあつかうのか──共同体との同一化と個人主義のあいだで
第六節 本書の方法と構成
第一章 一九二〇・三〇年代デューイ思想における政治と芸術
第一節 はじめに
第二節 一九二〇年代のデューイ政治思想における芸術の位置──大衆社会と芸術
第三節 一九三〇年代のデューイ政治思想における芸術の位置──全体主義と芸術
第四節 デューイの美と芸術の思想の特徴①──芸術と科学の二項対立を超えて
第五節 デューイの美と芸術の思想の特徴②──経験の全体性の回復
第六節 まとめにかえて──経験とデモクラシーの回復をもたらす芸術
第二章 跳躍をもたらす個性──全体主義との対決
第一節 はじめに──美と教育をめぐる論点
第二節 一九三〇年代デューイ思想にたいする問い
第三節 デューイの美的経験論──直接性と間接性をむすぶ跳躍
第四節 全体主義に抗する美的経験
第五節 おわりに
第三章 個人と共同体の相克──ブラック・マウンテン・カレッジ初代学長ジョン・アンドリュー・ライスの思想との比較
第一節 はじめに──個人と共同体の相克について
第二節 ブラック・マウンテン・カレッジとデューイ
第三節 ライス教育思想における共同体と個人の連関
第四節 ブラック・マウンテン・カレッジにおける芸術の位置づけ
第五節 デューイの思想を介して浮かび上がるデモクラシーの実現としてのブラック・マウンテン・カレッジ
第六節 おわりに──異物としての個性
第四章 一でありかつ多であること──作品と個性
第一節 はじめに
第二節 デューイの作品論の特徴とそれを検討する際の課題
第三節 デューイの生命論
第四節 想像力と知性による創造
第五節 おわりに──個性の内在的多元性
第五章 美的習慣形成としての個性──連続性と調和の問題
第一節 はじめに
第二節 本章の課題
第三節 デューイの習慣論が抱える倫理的課題
第四節 習慣と世界
第五節 習慣論と美的経験論の接続
第六節 おわりに──芸術的表現としての習慣変容
第六章 抵抗としての習慣と芸術──ジョン・デューイから鶴見俊輔へ
第一節 はじめに
第二節 コミュニケーション批判と大衆への期待
第三節 探究と抵抗の方法としての限界芸術
第四節 反射・芸術・アナキズム
第五節 おわりに──デューイの批判的継承者としての鶴見
終 章 美的経験のあらわれとしての個性
第一節 本書の要約
第二節 個性の再検討
第三節 今後の課題と展望
あとがき
参考文献一覧
事項検索
人名索引
定価 5,500円(税込)
刊行日 2026年2月3日


