
大和大学 田野瀬 良太郎総長インタビュー[後編]
■ 常に次の目標を求めて
――「いかに教員が熱意を持って目の前の子どもたちを指導できるか」このことが西大和学園グループの教育の根幹を成しており、それが実績にも結び付いているように感じました。
例えば、西大和学園高等学校は今、東大への進学を目指し、指導を行なっています。「それならば東大出身の教員を採用したら良いのではないか」と思われるかもしれませんが、実はそうとも限りません。むしろ、公立高校の採用試験に合格できなかった先生の方が、自身の失敗も活かし、「目の前の子どもたちをなんとか東大へ入れてやろう」と、熱く指導してくださっているように感じます。
――その発想はやはりすごいですね。「失敗した人」をどう用いるか、というのが、田野瀬総長の人材活用術、あるいは組織論として、とても重要なのではないかと感じました。少しずつ変わってきてはいるものの、やはり日本は再チャレンジが認められにくいですからね。例えばアメリカですと、何回も失敗したような人でも、再チャレンジを認めていくような社会風土があると思うのですが。
例えば安部晋三さんは2度首相を務めましたが、1度目は失敗して、2度目はなるほどと思える政治を行いました。全てが良かったとは限りませんが、政権が約10年続いたことに鑑みても、それなりに評価されていたと言ってよいでしょう。これにはやはり、1度目の失敗が活きていると思います。やはり人間、何事においても失敗を経験しないといけませんね。
――ここまでたくさんお話をうかがう中で、田野瀬総長の教育哲学を垣間見ることができたような気がします。最後に、次なる目標や構想中の将来像について、お聞かせ願えますでしょうか。
今はもう、「東の早慶、西の大和」で頭がいっぱいというのが正直なところです。そのためにも、なんとか関西トップレベルの大学入りを果たしたい、それに尽きるかもしれません。
しかしながら、入試改革で単に試験の難易度を上げ、より高学力の学生を獲得していくだけでは本末転倒です。「真に『大和大学で学びたい!』と思ってくれる子どもたち」を増やしていきたいと考えています。
本学では今後も大学改革を推進していきます。課題を発見し、要因を捉え、改善策を講じて、大和大学をどんどんレベルアップさせていく所存です。先ほど目標を3つ申し上げましたけれども、4つ目、5つ目はないかといつも探しています。何かアイディアがありましたら、ぜひ教えてください!
――本日は貴重なお話を誠にありがとうございました。

大和大学のスローガン「大志を、まとえ。」(写真提供:大和大学)

大和大学 田野瀬 良太郎 総長
プロフィール
大学時代1年間アルバイトをしながら、ロシアからヨーロッパ、中近東、東南アジア等33カ国を歴訪。これを機に政治の道を志し、1973年市議会議員初当選。その後、県議会議員、衆議院議員に当選し、自治政務次官、財務副大臣、自民党文部科学部会長、自民党三役・総務会長等を務める。議員活動を始めてまもなく、教育は政治上の最重要課題であると痛感し、実践として1981年なかよし保育園を開園。西大和学園高等学校、西大和学園中学校、西大和学園カリフォルニア校、白鳳女子短期大学(現 大和大学白鳳短期大学部)を設立し、2014年4月、西大和学園の集大成として大和大学を開学し、学長に就任。2025年4月より同大学総長。名古屋工業大学卒、柔道5段。2017年春の叙勲において「旭日重光章」受章。
著書
『なぜ田舎の無名高校が東大、京大合格トップ進学校になれたのか 西大和学園の躍進』(主婦の友社)
『田舎に帰った青年が三バン(地盤・看板・鞄)もなく国会議員になった話』(主婦の友社)
インタビュー:満渕匡彦・原田広幸(KEI大学経営総合研究所 研究員)
執筆・編集 :山口夏奈(KEI大学経営総合研究所 研究員)