
大和大学 田野瀬 良太郎総長インタビュー[前編]
■ トップは夢を語らねばならない
開校当初、本学に勤務していた教員は、公立高校の教員採用試験で不合格になった人がほとんどでした。当時の高校教員は基本的に公立志向のため、私学には公立の採用試験で不合格になった人しか来なかったのです。
ところが、そうした県に受け入れられなかった先生方が、本校で一生懸命に頑張って、県下の公立高校をはるかに上回る実績を作ってくれました。私はこのことを、とても誇らしく思います。
こうしたことに鑑みると、教育においては、「どのような教員に育てるか」、言い換えれば、「教員にやる気をどう持たせるか」が重要なのではないでしょうか。
開校当時は私も40歳くらいと若かったものですから、先生方とよく飲みに行きました。飲みニケーションです。そして、そこで彼らと夢を語りました。「海外に行きたい」とか、「将来大学を作りたい」とか、「西大和学園を今後どうしていきたいか」とか、そうしたたくさんの夢を。「10年後はどうなっている」「20年後はこうだ」と、常に目標を持って夢を語る。そして、その夢を皆も共有してくれると、一緒になって頑張ってくれます。
「トップは夢を語らねばならない」私はそう考えています。これが皆をやる気にしたひとつの要因だったのかもしれません。
それから、生徒に「夢を持って頑張れ、目標を持って頑張れ」と言う以上、我々も夢と目標を持っていなければなりません。言う資格がないですから。常に夢と目標を持って、それを皆と語り合い共有することが、とても大切なのだと私は思います。
――教育学者の齋藤孝さんも「『憧れに憧れる』ことが教育の原理だ」ということをおっしゃっています。何かに憧れ、目標や夢に向かって奮闘する教師の姿に、生徒が感化されることは大いにあり得ますよね。
そのとおりです。やはり先生のやる気に生徒はついていきますから。成績を上げるにしても、生活面においても、何にしてもそうです。やはり学校というのは教師次第。やる気のある教師集団であるならば、その学校の実績は上がっていきます。他方、夢を持つこともなく、足の引っ張り合いをして、その日暮らしをしているような学校は落ちぶれていく一方です。
学校でも、個人でも、企業でも何でも、目標や夢を持つということが非常に大切だと思います。そのためにも、トップは夢を持っていないといけませんね。