東洋大学 矢口悦子学長インタビュー[前編]
■リカレントとリスキリング
Q: 18歳から22歳までのコースだけでなく、いわゆるリカレントやリスキリング等、社会人や大人のためのコースへの社会的なニーズも増えてきていると思うのですが、いかがでしょうか。
矢口:本学では、夜間部(第二部・イブニングコース)を設置しています。夜間部は社会人に向けても門戸を開いていて、多様な年代の方が学んでいます。大学院の中には、社会人への特化が馴染むコースがあり、たとえば、経営学研究科の「中小企業診断士登録養成コース」は、まさにビジネスパーソンを対象としており、平日ではなく、ほとんどの授業を土曜日に集中して実施しています。
日本で唯一のPPP(パプリック・プライベート・パートナーシップ)を学ぶ経済学研究科もそうですね。オンラインで授業を開講していて、ここで学ぶ大学院生は全国にいます。今年5月には、福井県若狭町と協定を結び、若狭町役場の職員の方が、本学の大学院で研究をされています。自分の町のインフラをどうするか等々、自治体に関わる問題を自身の研究テーマとして学ぶことができるのです。
これらに限らず、他の大学院研究科においても社会人を受け入れるための入試を実施しています。実は「社会人に特化」したほうが適切だと思われる専攻も、他にいくつかあります。ただし、同じ学部・研究科で昼間も夜間も授業を実施するとなりますと、教員の労働時間の問題が生じますね。そのような問題をクリアできれば、まだまだ実現できる領域、求められている領域は結構あると思っています。
そのほかに、企業等用のパッケージとして、特定のコースを開講することもあります。企業等用のパッケージというのは、個々の企業等が有するデータを使って、受講生である社員の方々が、自社データをどう扱うかを指導するというものであり、社会的なニーズに応じて開講しているものです。