
上智大学 杉村 美紀学長インタビュー[前編]
■ 同窓生を巻き込んだ国際化への取り組み
--連携する大学はたくさんあると思いますが、海外のオフィスはどれぐらいあるのでしょうか。
杉村:海外拠点、研究拠点を合わせると8つあります。(リンク:海外拠点|上智大学)
タイのバンコクにある「ASEANハブセンター」は、「Sophia Global Education and Discovery Co., Ltd. (Sophia GED)という上智学院が出資し設立した事業会社が運営しています。もともとは「スーパーグローバル大学創成支援」事業構想に基づいてできた事務所ですが、拠点から発展させて現地法人化しました。Sophia GEDは大学のハブセンターの運営や上智のプログラム等の企画運営に加え、独自にグローバル教育プログラムの提供等もしています。そこには常駐の教授がいて、学部生のためのスタディツアーや、高校生を対象とした「せかい探究部」という面白いオンライン探求型学習プログラムなどを展開しています。参加した学生さんが、そうしたプログラムをきっかけに、その後、関連する分野に進んだり、上智大学を進学先に選んでくださったりしています。
ルクセンブルクとドイツのケルンには、日本人スタッフ駐在のオフィスがあります。上智のドイツ語学科では、ドイツ語在外履修制度があり、2年次に全員が半年間ドイツに行って勉強をするようになっています。そこにも日本人の職員が常駐しています。ニューヨークにも、同じく卒業生が自身の事業のオフィスを兼ねて構えている大学事務所があります。
それから、エジプトのカイロには「上智大学カイロ研究センター」のオフィスがあります。時々、先生方が研究拠点として訪れます。
また卒業生が経営する国際交流を目的とした会社とも密接なつながりをもっており、中国との交流では、協定校との連携や交流活動を助けてくれます。うれしいことは、そうした会社の皆さんが、上智大学のためだけに仕事をするのではなく、日本の他の大学の中国との交流も支援してくれていることです。
--卒業生とのつながりが深いということでしょうか。
杉村:拠点設立だけでなく、現在もオフィスの運営や、現地卒業生団体と大学の橋渡し等に、卒業生が関わってくれたり支援してくれたりしています。
なお、研究拠点としては、カンボジアのシェムリアップに「アジア人材養成研究センター」があります。第13代上智大学学長の石澤良昭先生(歴史学者、専門は東南アジア史)のもとで作られました。アンコール・ワットの修復とカンボジア人の人材養成を軸に事業が展開されてきました。
アジア人材養成センターは上智大学の中にありますが、現地の事務所には、上智大学の日本人教員が駐在しています。ちょうど去年、40年以上にわたり石澤先生が手掛けてこられた「西参道」というところの全ての修復工事が終わって、現地で国王陛下、閣僚、全員が揃って式典が開かれました(お知らせ|上智大学アジア人材養成研究センター)。