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  • 国際紛争、大規模災害、少子高齢化など、厳しい状況の中で新しい道を拓くための人材育成・社会貢献に資する大学への期待は大きい。真摯に改革に取り組む大学トップの声を紹介する。

佐賀女子短期大学 今村正治学長[後編]

あなたが来てもダメなら・・・

今村学長:私は、2019年から、東京を拠点にしながら、札幌市、京都市、兵庫県の学校に関わりながら、別府市では総合政策アドバイザーを務めていました。ところが、東京での生活も約半年を過ぎると、コロナウイルスの感染拡大、コロナ禍時代に入っていたのです。緊急事態宣言下の「ほぼ日」での仕事も、オンラインに切り替わりました。そうなると、東京でのひとり暮らしは息苦しいものになります。

仕事がオンライン中心になると、「別府にいてもよいのでは? 好きな別府で仕事をするのはどうか」と思うようになってきました。「ひと月1週間別府にいます宣言」をしました。

佐賀女子短期大学・内田信子理事長との出会いをつくったのは、荒井優さんでした。現在は、札幌3区選出の衆議院議員です。荒井さんとは、APU時代に知己を得て、私が立命館を退職したタイミングで、彼が校長を務めていた札幌新陽高等学校の企画アドバイザーをしていました。札幌新陽高校は、荒井さんが就任して、廃校寸前の危機から回復発展を遂げた「奇跡の高校」とも言われていました。(現在は赤司展子氏が校長)。その荒井さんに、経営が低迷していた東明館中高を紹介したのは私です。その縁で、荒井優さんは、2019年5月から2023年5月まで、東明館学園の理事長に就任されていました。

私は、荒井さんに乞われて、2021年5月に東明館学園の理事に就任するのですが、就任翌日に、学校法人旭学園・佐賀女子短期大学に連れていかれることになったのです。「同じ佐賀県の旭学園の理事長から経営の相談を受けている。いっしょに来ませんか?」と。

旭学園・内田信子理事長との出会いです。

理事長に就任されて4年、いかに厳しい経営努力をされてきたか、実感が伝わってきました。地方、女子、短期大学、まさに高等教育の三重苦です。しかも、次の学長を探していると。こりゃ~、なる人は大変だな~と、人ごとのように聞いていました。その二日後のことです。内田理事長が、別府まで車を飛ばしてこられて、学長になって欲しいといわれたのです。

職員出身の学長なんて聞いたことないと言うと、内田理事長は、「そんなことはどうでもいいのです。改革してくれる人になってもらう。それが一番ですと。あなたがやってもダメならそのときは・・・」と。

その覚悟の凄まじさに、これは逃げるわけにはいけない、大学で飯を食ってきた自分に白羽の矢が立った、そのミッションは尋常な困難さではないけれど、引き受けてみようと思ったのです。


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