甲南大学 中井伊都子学長 インタビュー[前編]
■理系教育の充実を目指して
--貴学では現代的なニーズに合わせた学部の改組も含め、先端的な取り組みをなさっておられます。2026年度に新設される理工学部の環境エネルギー工学科についてうかがえますでしょうか。
本学には現在、理系の学部が3つありますが、2026年度の改組では、どの学部もその中身をしっかりとバージョンアップして進化させることで、「甲南大学に理系あり」ということを押し出していくのをねらいとしています。「何を学んで、何が身につき、何になれるか」を、より明確にアピールしていきたいです。
この動きの中で、先ほども申しました時代のニーズにしっかりと対応していく部門として、理工学部に環境エネルギー工学科を新設します。本学の理系は、時代の最先端の研究を粛々とやってきた正統派です。この研究力に裏打ちされた理系の教育にしっかりと軸足を置きつつ、世の中の新たなニーズに対応した、企業からも求められる人材を育てていくこと、これが学科新設の目的です。
令和5年度大学・高専機能強化支援事業(支援1)の新学科事業概要が公表されました
--ありがとうございます。次に、既存の学部についてもおうかがいさせてください。貴学のなかでも、フロンティアサイエンス学部は女子学生の割合が高いかと存じますが、その理由は何でしょうか。
フロンティアサイエンス学部は、ナノバイオ系の研究を1学年45名という徹底した少人数で行なっています。先生との距離がとても近く、しっかりと理系の専門教育を受けられるのが特徴です。
1人1人がマイラボというデスクを持ち、そこを拠点として存分に勉強ができる点や、先生方について高度な理系の研究、実験を進めていける点が、女子に人気の理由かもしれません。特に女子の入学率を上げようと、戦略的に広報活動を行ったということはありません。オープンキャンパスなどで研究に打ち込む女子学生を見て、自然と集まってきてくださいました。
--周辺の環境もぜいたくですよね。
フロンティアサイエンス学部のキャンパスは、神戸の医療産業都市であるポートアイランドにありますが、そこの企業で働いておられる女性の方々が、フロンティアサイエンス学部の女子学生を対象に、研修会なども実施してくださっています。
--本当に環境に恵まれていますね!
[後編]はこちら
甲南大学 中井 伊都子 学長
プロフィール:
京都大学法学部卒業、同大学院法学研究科社会学修士課程修了、
同大学院法学研究科博士課程中退。
国際法学者。世界法学会員、国際人権法学会員、国際法学会員。
公益財団法人世界人権問題研究センター専任研究員。
1998年より甲南大学で教鞭をとり、2020年に同学学長に就任。
論文に、「カナダにおける国際人権条約の履行」(2008年)、「国際人権規約の意義とその活用について」(2007年)、「国際人権条約における社会権の権利性」(2005年)など。
共著に、『国際法入門 逆から学ぶ』(法律文化社)、『人権保障の新たな展望』(アジア・太平洋人権情報センター)、『講義 国際組織入門』(不磨書房)、『居住福祉学と人間』(三五館)、『判例国際法』(東信堂)など。書評も多く執筆している。
著書(共著):
『国際法入門 逆から学ぶ』(法律文化社) https://amzn.asia/d/045JfTtZ
『人権保障の新たな展望』(アジア・太平洋人権情報センター) https://amzn.asia/d/08YxOLIL
『講義 国際組織入門』(不磨書房) https://amzn.asia/d/02JG5b5V
インタビュー:満渕匡彦・原田広幸(KEIアドバンス コンサルタント)
構成・記事 :山口夏奈(KEIアドバンス コンサルタント)