関西医科大学 木梨 達雄学長インタビュー[前編]
■ 共学という環境で男女協働の意識を育む
--学生と、スタッフ・教員について両方お話しいただきましたが、学内や現場で女性の割合が増えたり、女性の活躍の場が増えることによる、男性へのプラスの効果はあるのでしょうか。
現在、日本の教育界は基本的に共学のため、学生レベルでジェンダー的差異による学習効果が期待できるかと言われると、私はほとんど無いと思います。むしろ、のちほどお話する、異なるバックグランドを持つ人たちとの交流のほうが、より重要になってきているのではないでしょうか。
しかしながら、行動や、ことコミュニケーションに関しては、女子のほうが入学時点では優れている気が少ししますね。例えば一緒に討論をさせてみると、やはり女子のほうが強いです。もちろんそうでない場合もありますが、得てして女子が優勢であることが多いと思います。
生理的にも女性の方が早く成長しますし、遺伝的な背景によるものなのか、私にも分かりかねますが、男子と女子では、やはり女子のほうが、人格的な成熟がやや早いです。卒業時にはほぼ同水準になりますが、そうしたジェンダー的差異はあるのかもしれません。
その意味では、男性は共学の場で、女性の主張の強さなどを実感してから社会に出ていくことになるわけです。しかし、そうした経験をせず、自分中心に物事が動いているという考えのままいると、後の人間関係において、さまざまな軋轢が生じてきます。
また、女性の場合はやはり将来的にライフイベントでの負担があるため、それを乗り越えるためにも、男性はしっかりと協力することが求められます。さまざまな面で、男性と女性は協働し、互いの良いところを生かし、苦手なところはカバーする気持ちを持たなければならないのです。
医療の世界ではそうしたチームスピリッツが非常に重要となります。そのため、学生たちには男女共学という環境下で、性別を越えて協力し合い、将来的にも多様な人たちと協働することが求められるのだと学んでほしいですね。