
共立女子大学・共立女子短期大学 学長 佐藤雄一氏インタビュー:変革する社会における「共立リーダーシップ」の真価と、女子教育の未来
変革する社会における「共立リーダーシップ」の真価と、女子教育の未来
女子教育の伝統校として、また都市型大学の先駆者として知られる共立女子大学・共立女子短期大学は、1886年の創立以来、「女性の自立と自活」を掲げてきた。佐藤雄一学長は、1995年に同大学に着任以来、30年にわたり、教員として、また大学運営にも関わりつつ、大学の変遷を見守ってきた。共立女子大学は、戦後、新制大学として家政学部からスタートしたそのルーツを大切にしながらも、文芸学部、国際文化学部(現・国際学部)、看護学部、ビジネス学部、建築・デザイン学部、そして2026年度開設される児童学部へと領域を広げてきた。この軌跡は、単なる学部増設の記録ではない。それは、社会の要請を敏感に察知し、大学としてのアイデンティティを現代的に再定義し続けてきた「しなやかな適応」の歴史でもあった。
1. イントロダクション:30年の歩みと学長としての視座
インタビュアー: 佐藤学長、本日は貴重なお時間をいただきありがとうございます。学長が共立女子大に着任されたのは1995年。ちょうど貴学が国際文化学部を設立し、伝統のある家政学部・文芸学部の枠を超え、新たな一歩を踏み出しはじめた時期と重なりますね。この30年、内部から見てこられた貴学の変容をどう総括されていますか。
佐藤学長(以下、佐藤): 振り返れば、1990年代はまさに「国際化」が大学教育の大きなうねりとなっていた時代でした。本学もその流れを捉え、国際文化学部(現・国際学部)を立ち上げました。その後も、社会のニーズに応える形で看護学部、ビジネス学部を新設し、さらに家政学部内の専攻だった建築デザインを独立した学部にするなど、常に領域を拡張させてきました。来年度には児童学科を「児童学部」として独立させますが、これも少子化社会における専門性の深化を意図したものです。
インタビュアー: 興味深いのは、その拡張が単なる規模の追求ではなく、常に「生活者の視点(家政)」という土台の上に、現代社会の課題を接続させている点です。社会適応という外的な力学が、大学内部のアイデンティティにどのような化学反応をもたらしたとお考えでしょうか。
佐藤:鋭いご指摘です。領域が広がることで、本学の原点である「自立と自活」の解釈が多様化しました。看護もビジネスも建築も、すべては「社会の中でいかに自分を役立て、自立するか」という一点に集約されます。社会の変化に合わせるというよりも、変化を学びの糧として取り込む。この姿勢こそが、共立のアイデンティティをより強固にしたと感じています。
インタビュアー: その「社会との対話」が最も先鋭的な形で現れているのが、次のテーマである「国際化の質的転換」ですね。
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