
大阪経済大学 山本俊一郎学長 インタビュー「創発が日常になるキャンパス」
3. 教育と研究は両輪:教育の質を支える研究環境の重要性
「実学」を掲げる大学にとって、教員が研究の最前線に立ち、社会のリアルな動きと接続していることは、教育の質を担保する上でも重要だ。教育か研究か、といった二者一択の議論には与せず、大阪経済大学は「教育と研究は両輪」という信念を譲らない。質の高い教育の土台として、研究環境をいかに維持・発展させているか、その独自の戦略に迫る。
インタビュアー: 学生への教育を重視する一方で、研究活動をどのように位置づけていらっしゃいますか?
学長: 我々は、教育と研究は「両輪」であり、どちらか一方だけでは成り立たないと考えています。大学の価値は社会に貢献できる人材の輩出にありますが、その教育を担うのは「知の最前線」にいる研究者でなければならない。そうでなければ、本当の意味での大学教育は実現できないと思っています。

インタビュアー: その信念を貫くための具体的な戦略はありますか?
学長: まず、研究者同士の交流を促進することが重要です。でも、よくある「研究者サロン」のようなものを意図的に作ろうという話もありましたが、おそらく研究者はそういう場を嫌がるでしょう(笑)。それよりも我々が力を入れているのが、学外の学会や研究会を積極的にキャンパスに誘致することです。
インタビュアー: 学会を誘致するのですか。それは非常にユニークな戦略ですね。
学長: ええ。全国規模の学会には10万円を支給してでも「うちでやってください」とお願いしています。これには複数のメリットがあります。まず、学外の優れた研究者が集まることで、本学の教員だけでなく学生も知的刺激を受けます。次に、他大学の研究者に本学の魅力や研究環境の良さを知ってもらう絶好の機会となり、優秀な人材の獲得にも繋がります。そして、大学の認知度向上という広報効果も期待できます。
インタビュアー: なるほど。研究がどのように教育効果にもつながるかが見えてきました。いわゆる「学生ファースト」という言葉が、単なる手厚いサービスではなく、質の高い研究に裏打ちされた教育を提供する、という深い意味で実践されているのですね。
学長: その通りです。とくに、PBL(課題解決型学習)などで社会と連携する際には、教員自身も社会の最先端を理解していなければ、学生をファシリテートすることはできません。二次情報や教科書だけの知識では、本物の実践教育は不可能です。だからこそ、教員が研究し続けるための環境は、何があっても守り抜きたいと考えています。
インタビュアー: 質の高い教員と研究環境という「インプット」が、いかにして質の高い学生という「アウトプット」に繋がっているのかがよくわかりました。
(次ページへ続く)


