
「2040年の大学・高校」データが示す大学・高校 二つの全国調査から見る展望と課題
2025年12月22日「河合塾・KEI大学経営総研共催WEBセミナー」 河合塾×KEIアドバンス セミナーレポート
2025年12月22日、河合塾とKEI大学経営総研が共催したWEBセミナー『2040年の大学・高校、高大接続を展望する---学生・生徒中心の教育の再構築へ』が行われた。本稿は、このセミナーの前半で行われた調査結果のレポートの概要をまとめたものである。
河合塾と朝日新聞社が共同実施した「ひらく日本の大学」、およびKEIアドバンスが実施した「全国大学学長アンケート」、二つの全国調査のそれぞれの分析から、2040年に向けた日本の大学・高校教育の未来像を展望する。
概要
河合塾とKEI大学経営総研が共催したWEBセミナー『2040年の大学・高校、高大接続を展望する』では、以下の二つの全国調査に基づく報告(調査結果の一部)が行われた。
| 調査名 | 実施主体 | 調査対象 | 回答数・回収率 |
| ひらく 日本の大学(2025年度) | 河合塾+朝日新聞社 | 全国の大学(大学版) 高等学校・中等教育学校(高校版) | 大学:612校(78.8%) 高校:791校 |
| 全国国公私立大学 学長アンケート (2024-2025) | 大学経営総研 (KEIアドバンス) | 全国の国公私立大学 大学院のみの大学を除く | 345大学 (43.9%) |
*各調査の詳細は、以下をご覧ください。
「ひらく 日本の大学」 ひらく 日本の大学 | 調査・研究 | Kei-Net Plus(教育関係者の方) | 河合塾 Kei-Net
「全国国公私立大学 学長アンケート」 全国学長アンケートに関する記事一覧 – KEIHER Online.
1. 2040年の大学の未来予測
1.1. 学生人口と大学数の変化:
18歳人口が激減する2040年に向けて、大学を取り巻く環境は大きく変化すると予測されているが、「ひらく日本の大学」(以下「ひらく」もしくは「河合塾調査」)と、「全国国公私立大学学長アンケート」(以下「学長アンケート」もしくは「KEI調査」)では、どのような回答が得られたか。特徴的な一部を紹介する
(1)大学進学率と進学者数:
大学進学率は上昇すると予測する大学が6割を超える(河合塾調査)。学長アンケートでも、学士課程への進学率は「やや増加する」との予想が半数を超えた(KEI調査)。通信制課程やオンライン専門の大学への進学者も増加するとの見方が多数派を占めた(河合塾調査/KEI調査)。
(2)大学数の減少予測:
私立大学: 大多数の大学が、私立大学の数は「減少・低下する」と予測しており、極めて厳しい見方をしている(河合塾調査・KEI調査)。
国立大学: 国立大学の数については「変わらない」と「減少する」が拮抗している。しかし、国公立大学自身が「減少する」と考えている割合が高く、当事者意識の強さがうかがえる(河合塾調査・KEI調査)。
公立大学: 比較的「増加する」との回答が多く(22%)、私立大学から公立大学への転換(公立化)を想定している可能性がある(河合塾調査)。
1.2. 大学の役割と目指す人材像の変化
大学の社会におけるあり方、果たすべき役割について、学長の意識には明確な変化が見られる。
(1)「学びの公共インフラ」への転換:
「大学はエリート養成機関である」という考え方には、学長の46%が同意しないと回答している。エリート大学から、ユニバーサル化への明らかな転換が、学長の意識にも表れている。対照的に、「大学は地域に開かれた学びの場であり、必ずしも18歳を対象としない」という項目には70%以上が同意しており、大学が「学びの公共インフラ=みんなのための大学」へと変わりつつある現状が示された(KEI調査)。
(2)地域貢献を最重視:
大学が「育成を目指す人物像」として回答したもので最も多かったのは、「地域や地元の発展に貢献できる人材」であった(KEI調査)。大学は、研究機関としての役割以上に、「地域人材の育成拠点」としての役割を重視する傾向が強まっている。
2.3. 教育・研究力の展望
教育力と研究力の乖離:
大学は、自らの「教育力」については今後「多少上昇する」と楽観的な見方をしている。しかし、「研究力」については悲観的な見方が多く、日本の大学が直面する課題を反映している(河合塾調査、KEI調査)。学長アンケートでは、研究力が「下降・後退する」との回答が23.5%にのぼった。
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