「2040年の大学・高校、高大接続を展望する」溝上・増谷対談レポート

4. 人口減少社会での処方箋:制度改革と「連携」の重要性

議論は国の政策の問題に及んだ。人口減少という不可逆的な変化に直面する日本においては、大学の生き残りを、大学側の個々の努力だけに委ねるのは限界に達している。国による大胆なトップダウンの構造改革と、現場レベルでの柔軟なボトムアップの連携という、二方面の施策を同時に行っていくことができるかが課題解決のカギとなる。

国家レベルの「マクロ」な視点として、溝上氏は、政府主導による大胆な政策転換の必要性を提言した。たとえば、「入学定員の再配分」つまり、都市部の大規模私立大学に集中しすぎている定員を、10年、20年といった長期的な計画の下で地方大学へ移していくプランである。大学の生き残りを、資本主義的な自由競争に任せれば、地方が衰退するのは自明である。地方大学や小規模大学が、自助努力で教育の質を向上させるだけでは、もはや安定的な学生募集は難しい局面まで来ている。

他方、「ミクロ」なアクションとして、増谷氏は、大学による多様な「連携」の可能性を具体的な事例を交えて紹介する。たとえば、大学間での「国内留学制度」(短期~中期的に都市部と地方の大学がそれぞれの協定校に通い単位の認定を受ける制度)を設けるなど、大学同士が協力する動きが活発化している。また、自治体との連携も進んでおり、総務省が主導する大学と自治体のマッチング事業のほか、長野県飯田市では、「大学誘致連携推進室」を設け、多数の大学と連携を行うという先進的な事例もある。同市では、学生を単なる観光客ではなく、地域課題に関心を持ち解決策を共に考える「関係人口」と位置づけて、長期的な絆を育む街づくりを進めている。さらに「ふるさと納税」を活用した新たな資金調達手段の開発なども行われている。

増谷氏は、こうした連携の基盤として、大学の「情報公開」の重要性を強調することも忘れない。大学は、自らの教育内容や成果を社会に対して積極的に公開し透明性を高めることで、社会からの信頼を獲得できる。こうした信頼が、多主体間のパートナーシップの強固な基盤となるのである。

国レベルでのマクロな制度改革と、個々の大学による教育の質を高める努力(教学改革等)と多様な主体間の「連携」。この両輪を回すことことこそが、人口減少社会における高等教育への処方箋となる。また、新たな視点として、大学改革のモデルを欧米だけに求めるのではなく、日本と社会状況が近い台湾や韓国といったアジアの改革も参考にすべきこが付け加えられた。

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