学生中心で進化する大学教育DX 学びの楽しさを核に

オンラインプラットフォームは大学との協業を始めている

竹川:はい、大学向けコンテンツをシステムとして提供するとともに、今、大学と一緒に、大学の既存のアセットを生かしたコースを作って、それを学生や社会に向けて提供する試みも始めています。大学と一緒に非同期型のオンライン講座を作っている、というイメージです。

コロナ以前に、アメリカで開かれた大きなカンファレンスに行ったときに聞いた話ですが、大学の学長と大企業の社長に、それぞれ「最近の新卒社員のスキル/知識は実業で使えますか?」という同じ質問をしたら、学長の98%がYesと答えたのに対して、社長の方は11%しかYesと答えなかった、というのです。産学の認識のギャップは大きい、という話なのですが、他方、アメリカには、Coursera * や 2U**のようなオンライン教育のプラットフォームが出来ており、産学を上手くつないでいこうとするエコシステムも成立しているということを感じました。

Coursera(コーセラ):スタンフォード大学発のMOOC(大規模公開オンライン講座)サービス。スタンフォード大学、ペンシルベニア大学、ミシガン大学やGoogle・IBM・Meta など世界中の主要大学・企業が提供する講座を集約し、誰もがオンラインで専門知識とスキルを学べるプラットフォームである。
**2U(ツーユー):主に米国の主要大学・大学院と提携し、オンラインによる学位(学部/大学院)プログラムに加え、エグゼクティブ教育、技術系ブートキャンプ、専門資格コースなど多様なショートコースを提供するEduTechプラットフォームである。

私たちは、日本でこのCourseraや2Uのような立ち位置になりたいと思っているんです。私たちは、産業ニーズもある程度知っているし、教え方のベストな組み合わせ方も知っている。また、システムも持っている。そして、大学にはすばらしい教育コンテンツがあり、それらをこま切れにしたり、適切と思われる順番に並べたり、適宜、小テストを加えたりしながら、私たちのシステムを使って一緒にコースを作ることができる。こういったことを進めていきたいと考えています。

例えば、一橋大学のビジネススクールとの連携では、「DX」を共通の切り口にして、我々のオンライン教育のプラットフォーム上で共同でオンライン教材を作り、デリバーするという取り組みを行っています。そこでは、競争戦略の専門家、フィンテックの専門家、データ経営の専門家などなど、大学の先生方にそれぞれの「知」の部分を提供していただきました。このように、私たちのオンライン教材開発のノウハウを、一橋ビジネススクール教授陣の「知」と掛け算してオンライン講座を共同開発し、それを全国・世界へ提供しようとしています。

同時に、企業や業界を超えたDX責任者同士の交流や、教員・ゲスト講師との直接対話を求める方々のために、実際にキャンパスに来てもらうプログラムも実施しています。オンライン・オフラインの両方を組み合わせつつ、学習者それぞれのニーズに合う効果的な学習方法を提案していたりもするのです。

竹川:はい。私たちのミッション「社会とともにイキイキと生き続ける力を引き出す」では、AIとは一言も言っていません。他にもたとえば、今、名古屋大学と開発している「メタワーク」という分野の教育教材では、例えば仙台にいるシングルマザーの方がVR空間に入って、名古屋の工場のロボットを操作する(仕事をする)、ということを可能にしようとしています。「イキイキと」という意味では、本当にいろいろな分野で、いろいろな年代に向けた教材を、私たちの教え方のノウハウを活かして作っていきたいと思います。

(次ページに続く)

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