
学生中心で進化する大学教育DX 学びの楽しさを核に
AI・デジタル人材育成プラットフォーム zero to one 代表取締役 CEO 竹川隆司氏に聞く [Vol.2]
大学教育のデジタル転換を実装する 株式会社 zero to one。後編では、AIの“使い方”を超えた概念理解・要件定義力・著作権や倫理への配慮までを含むジェネラリスト教育の要諦を掘り下げる。同期/非同期を使い分けたオンライン設計と対面の最適融合、学修ログを活かす評価、そして大学資産を生かした産学協働・大学間連携によるコース共同開発の可能性を提示。Coursera等の潮流も踏まえ、「Student is No.1」を軸に、学ぶ楽しさで「世界の笑顔の総数を増やす」教育像を描く。
「AIの使い方」を超えて学ぶべきもの
原田:お話をうかがっていると、G検定*では、AIの使い方というよりも、かなり概念的なことも学ぶわけですよね。今後AIが普及していく中で、そういったコンピュータの概念や仕組みに関する知識が必要になってくると思われますか。
* G検定(ジェネラリスト検定):一般社団法人ディープラーニング協会(JDLA)が実施する、ディープラーニングを中心としたAIの基礎知識を体系的に理解していることを証明する資格で、zero to one が資格取得のためのプログラムや教材を提供している。
竹川:そうですね。実際に問題解決でAIを使うとなったときに、AIの概念や仕組みを分かっていたら、どういうデータが必要で、それをどういう形で取ってきたらよいのか、もっと言えば、AIを使って解決するのがよいのか、使わなくても大丈夫なのか、といった判断をするとき役立ちますね。また、自分でプログラムを書かないとしても、誰かに作ってもらうときに、どうやって要件定義をしたらよいのか、といったときにも有効です。
さらに、AIを扱う際には、プライバシーや法律、倫理への配慮が不可欠です。例えば、このような使い方をしたら、差別につながるのではないか、倫理的に大丈夫か、といったことを知っているかどうかで、大きな差が出てくると思います。とくに著作権法は重要です。G検定では、どんなデータであれば使ってもよいのか。データにはどんな権利があって、そのアウトプットには誰がどのような権利や責任を持つのか。さらにそれをアプリにしたらどうなるのか、というところを学ぶことになります。
もちろん、実際は法律や制度も変化しうるものですので、G検定を取れば全てがOKということではありません。しかし、それぞれの段階で著作権が細かく分かれていることが分かっていれば、実務でデータを扱うにあたって調べることができます。
現代において、ジェネラリストとして、AIを実際に使うことになったときに必要な知識を身につけておくことは、極めて重要だと思います。
原田:現代はテクノロジーの進歩が速すぎて、倫理的な問題はどうあるべきか、とか、どんな使い方がよいのかを考える間もなく次のサービスが出て来ているような状況です。利用する側としても、「リテラシー」 よりも、もう少し大きな視点で「デジタルはどうあるべきか」ということを考える姿勢は、大学でも身に付けさせる必要があると思います。その意味で、今後は大学の教養・共通教育において、操作技術よりもむしろ、AI やコンピュータ科学をメタに見ていくような、広い意味の情報倫理の学びが必要になってくると思います。
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