
豊島岡女子学園 中学校・高等学校 インタビュー[前編]
--こういった多彩な探究のプログラムは、いつ頃から始まったのでしょうか。
十九浦:SSHに認定される3年前ほど前から動き始めていました。そもそも『AcademicDay』は、校内でいろんな挑戦的な取り組みをしている生徒たちが集まって、それを内部の生徒に向けて発表する場、というところから始まったのです。
それとほぼ同タイミングで、『T-STEAM:Pro』(当時は『モノづくりプロジェクト』)が始まりました。1度実施してみると、喜び方や悔しがり方も含めて、普段の授業やクラブとは違う生徒の感情、表情が見えてきて、そこに学びの可能性が大いにあるのではないかと考えました。
これから生きていく社会で必要な能力、資質というのは、普段の授業でも部分的には学べますが、そうではない、大人になった時にちゃんと使える、いつでも引き出せる汎用性のある能力というのを持たせるには何が必要かということを考えて始めていったのが、探究活動の最初のきっかけです。
今から7年前、最初に取り組み始めた当初は、「本当に意味があるのか?」といろんな先生たち、生徒、保護者の方々も思っていたところはありましたが、2年3年と継続していく中で、いろんな先生たち、生徒も含めて意味を見出すことができ、今に至っています。
探究活動に関してのアンケート調査を実施していますが、95~96%が肯定的な回答になっています。保護者の方々に関しても、SSH事業に関する、例えば高1高2の課題探究、『探究Basic』、『T-STEAM:Jr』や『T-STEAM: Pro』などのプログラムに対し、「非常に評価できる」「やや評価できる」という肯定的な回答が100%近くを占めています。
また、課題探究のお手伝いに来てもらっている卒業生50名ほどにもアンケートをとった時には、自分たちが取り組んでいた時と今の生徒を比べて、今の生徒は主体性・積極性が伸びている、という回答が寄せられました。加えて、実際にTAの活動をしてみた感想として、「自分のためになっている」とほとんどの卒業生たちが回答してくれています。
受験生に関しても、受験生の保護者の方々へのアンケート調査の結果、本校の中で一番興味を持っているかという項目において、最上位の進学結果の次に探究活動でした。 今では卒業生や保護者、生徒、教員、受験生と、様々な側面からこの課題探究が認知されてきて、価値がある、未来への学びの機会になっているという認識を得られていると感じています。
【前編終わり】
【リンク】
・豊島岡女子学園 中学校・高等学校 https://toshimagaoka.ed.jp/
インタビュー・構成・記事:阿部 千尋(KEI大学経営総研 研究員)