東工大 データ・ドリブンな教学改革とは何か
高松 実は、当初の設計段階では、学びのパラダイム転換に主眼を置いていました。学修成果の可視化はその検証や高等教育政策的な面から取り組んだことから、データが最初から存在していた、「データ駆動型」アプローチで解析を進め、新たな学修成果の可視化法を開発・提唱しました。しかし、振り返ってみると、後付けの可視化には少し無理があるという結論に至り、学修成果の可視化を活用する仕組みを設計段階から組込む必要があると認識しました。
このような経験を踏まえ、第2次教学マネジメント改革では、19のコンピテンシーを廃止し、代わりに4つの新ときわコンピテンシーを制定しました。同時に、シラバスの変更も行いました。教員全員が学修の到達目標を自ら定め、それに基づいて個別のルーブリックを作成する形に移行しました。
このシラバス作成に関しては、大学側では、大学改革の経緯や目的などを説明する動画を作成し、それに授業設計の方法(インストラクショナルデザイン)も加え、教員に提供しました。この取り組みにより、大きな混乱もなく上記の改革を実施することができました。
学修成果の可視化については、先に述べたように、新ときわコンピテンシーを再定義し、学生の自己評価に切り替えました。具体的には、就職活動時によく問われる「ガクチカ」(学生時代に力を入れてきたことは何ですか?)に対応するため、活動記録(ポートフォリオ)の導入を行いました。このポートフォリオにより、学生は受け身の学習ではなく、自己の振り返りと主体的なアウトプットが可能となっています。