• オピニオン/研究
  • 複雑・多様化する社会の構造的な課題を提起し、これからの高等教育のあるべき姿などを問い、課題解決の方法を提言していく。

立命館大学デザイン・アート学部/デザイン・アート学研究科(仮称)インタビュー[前編]

プロジェクト中心の学びを通じた教育と産学連携

八重樫:幾つかのパターンを構想しています。

新学部/研究科では、さまざまなプロジェクトに参加することを、カリキュラムの中心に据えています。社会的正当性を持ったプロジェクトを行なうという意味で、学内だけでなく、企業や自治体などとコラボレーションする機会を学生に提供できるよう、体制を整えました。学生たちにものづくりや表現、また多様なステークホルダーの関係調整プロセスを直接経験してもらうのがねらいです。

企業にお勤めの方に大学へ来ていただいて、講義をしてもらうことに価値はあれども、我々のプロジェクトとしては、そこに社会的正当性はありません。大学という空間のなかだけではどうしても、企業活動の文脈が途切れてしまうからです。そこで、学生たちが大学の「外」に出て、実際に企業が活動している場や、企業とともに新たな場所へ行き、そこで仕事をしている人たちとともにプロジェクトを展開させる形での直接経験を「プロジェクト型(直接経験型のプロジェクト参加)」として、推進していきたいと考えています。

また現在、社会的な風潮として、デザインやアートの能力を持った人が管理職に求められています。この状況に鑑みると、単に募集要項を公開し、大学院を開設して入学者を待っているだけではなく、大学側から企業にアプローチするような形をとることができればと考えています。具体的には、企業内の研修プログラムであったり、役職者に対する教育と学位取得を合わせるようなものです。あくまでも構想の段階ですが、授業の一環として企業と連携する以外の、こうした企業連携の在り方も実現させたいと思っています。

加えて、将来的には新学部/研究科で、企業のR&Dを請け負う、デザインを発注していただく、あるいは実際にコンサルティングをするといったことまで実現させられると良いですね。


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