
大学入試を中心とした情報分野の学力評価手法の検討シンポジウム2025
■第1回よりやや難しかったのは受験者層の違いか
結果がスライドの上段のグラフです。2025年度の共通テスト「情報Ⅰ」は、上の方の得点に寄った分布でしたが、我々の模試では、下の方の得点に寄っており、やや難しかった、というところです。ただ、分布の山は結構きれいにできているので、問題としての弁別性はあったかな、と思います。

また、第2回の模試の受験者層を、第1回と比較してみました。IRTを想定した多肢選択問題は、第1回と第2回では一部同じ問題を出題しているので、その9問の得点を比較したのが下のグラフです。
オレンジの方が第1回、青い方が今回です。第1回の方が、成績がおしなべて良かったことがわかります。
確実なことはわかりませんが、我々が考えているのは、前回の模擬試験の実施は2024年秋で、入試を控えた3年生が、勉強を一生懸命頑張っている時期に受験したのに対して、今回受験したのは2年生や1年生で、「情報I」の授業を受けたばかりの生徒が、「先生から勧められたからちょっとやってみるか」という気軽な気持ちで受験したのではないか、ということです。もしそうであるとすれば、逆にきちんと勉強すれば、かなりの伸びしろがあるということか、とも思います。
受験者に対するアンケートの回答で、興味深いものを紹介します。
今回CBTで模試を行ったので、CBTの活用に問題はなかったかを聞いたところ、「全ての設問で順調だった」という人が82人、「順調ではない設問もあったが、自己解決した」という人が34人で、ほぼ問題はなかったと見てよいと思います。
ただ、「順調に解答できなかった」と答えている受験者の中には、もしかしたら「問題が難しくて答えられなかった」という人も含まれている可能性があります。
また、「情報Ⅰ」の履修状況の差も分析してみましたが、こちらもあまり差が出ませんでした。

自由回答でワードクラウドも作ってみましたが、ここからは「難しい」以外には特に目立った情報は得られませんでした。

■多肢選択問題と一般的な問題の得点には相関がある
IRTを想定した多肢選択問題と、一般的な問題の得点の相関を取ってみました。相関係数は0.68で、強い相関が出ています。つまり、多肢選択問題で問うても一般的な問題と同様に弁別することができる、ということになります。これについては、実は第1回の模擬試験でも同様の結果が出ていました。

さらに詳しく、問題の種別に相関を見た結果が下のグラフです。特に相関が高かったのは、多肢選択問題と、いわゆるデータサインスの問題でした。それぞれの詳しい内容については、このあと各ワーキンググループから紹介します。

「EMIU情報模試2025春」の成果としては、前回の模試に引き続き、IRTを想定した多肢選択問題と、従来の一般的な問題の得点間で相関があることがわかりました。また、CBTによる実施でも、受験者は支障なく取り組むことができ、分析に耐えるデータを得ることができました。さらに、前回試験と共通の問題による比較で、模擬試験としての安定性が確認できました。一方で、今回の模試では、前回に比べて「難しい」という意見が多く見られました。

EMIU情報模試2025春の問題の一部は、こちらをご覧ください。


