大阪工業大学ロボティクス&デザイン工学部 インタビュー[後編]
■「ものづくり力強化」を目指したカリキュラムの刷新
Q: 貴学部としてアピールしたい新たな取り組みについてご教示ください。
「ものづくり力」強化です。
「ものづくり力」の強化を図り、2022年度にカリキュラムを刷新しました。デザイン思考の5つのプロセスと授業科目を関連付けることで、「ものづくり」と「知識」を融合させた、梅田キャンパス発の新しいデザイン思考教育にステップアップしています。
学生たちを見ていると、アイデアを考える部分はだいぶできるようになってきました。そこで、次のステップである、プログラムの質や技術力の向上、すなわち「ものづくり力」の強化を目的として、新しい演習科目を設置し、2024年度の3年生よりスタートさせています。
具体的には、これまで学部3年次の履修科目であった「ものづくりデザイン思考実践演習Ⅰ(1・2年次で学んだデザイン思考と基礎知識・技術をベースに、3学科の学生が混在するグループで実社会の課題解決を目指す授業)」を改め、後継科目として、3学科それぞれで「ロボットシステム創造演習」、「システムデザイン実践演習」、「空間デザイン演習Ⅲ*注2、プロダクトデザイン演習Ⅲ*注2」を新設しました(*注2:既存同一科目名だが内容を改変)。
これら新しい演習科目は、ひたすら手を動かし、ものづくりし続ける授業を想定したものです。ものづくりそのものの時間をより増やしていくことが目的であるため、いわゆるコストパフォーマンスとは対極にあります。授業時間が終わってもずっと彼らがものづくりを続けている、そういう状態を実現させたいです。
Q: 自分の学生時代を振り返ると、夜遅くまで学生が研究室に残っていたり、なんなら翌朝もそのままいる、もはや研究室に住んでいると言っても過言ではない学生がいたことを思い出します。
むしろ、今の学生たちはそういった環境を求めている、「鍛えられたい」と心のどこかで思っているのではないでしょうか。自分の好きなものだけを自由に選択できる現在の環境に慣れ過ぎてしまい、それに彼らもどこか物足りなさを感じているからこそ、自分をみっちり鍛えてくれる人のもとや環境に身を置きたい。そういったニーズがあるような気がしています。
Q: 潜在的に「鍛えられたい」という欲求があるにもかかわらず、表に出せていなかったり、社会がそういう機会を提供できていなかったりするのでしょうね。
機会を提供できていないのに加え、1人真剣に取り組んでいると、「なんやあいつ、ええかっこして」といったような周りの声や視線が気になるのかもしれません。私としては、それとは真逆の「いやいや、もうここは没頭するのが普通やねん」という雰囲気をつくっていきたいと考えています。
実際にご覧いただくとよくわかるのですが、作業環境はとてもオープンで、誰かの頑張っている姿がよく見えるつくりになっています。1人で黙々と作業しているのではなく、オープンなエリアで誰かの頑張っている姿を目にする機会があるというのは、学生相互の刺激になっているのではないでしょうか。
また、モチベーションだけでなく、アウトプットの質の部分においても、他者の様子を見ることができる環境は重要です。周りに素晴らしい成果物を作っている学生がいるとすぐにわかるので、「自分ももっとやらないと!」という刺激につながっていると思います。
Q:ロールモデルをどんどん見せることで、それを見た人も成長するという相乗効果が期待できますよね。素晴らしい業績や理想型を近くで見る機会を実体験として作ってあげることは非常に重要であると私も思います。