教育/ニュース

高大接続や大学設置基準改正などの教育トピックスについて、河合塾グループならではの情報を発信。

インド、高等教育予算を11%増額 ―― 産学連携の「5大大学タウンシップ」構想と研究力強化の行方

本記事は、『University World News』にて掲載された記事をもとに作成しています。

インド政府は2026年2月に発表した国家予算案において、高等教育への予算を前年比約11%増の約5,573億ルピー(約66億米ドル)へと引き上げた。この大幅な増額は、インドを単なる留学生の供給源から、世界的に競争力のある大学・研究機関のハブへと変貌させ、経済や技術発展の戦略的中心に高等教育を据えようとする政府の野心的な姿勢を示している。

予算では、学生や研究者にトップジャーナルへの無料アクセスを提供する制度(PM-ONOS)や、研究チェアプログラム、そして教育や研究へのAI統合を目指す「AIセンター・オブ・エクセレンス」の新設に特化した資金が配分された。さらに、世界クラスの教育機関に向けた資金も大幅に増額されている。

中でも最大の目玉となるのが、主要な産業・物流回廊沿いに5つの大規模な「大学タウンシップ(University Townships)」を開発する構想である。これは従来のキャンパスの枠を超え、大学、先進的な研究センター、スタートアップ、そして産業界を直接結びつけるイノベーションの統合拠点を目指すものだ。教育、研究、雇用の乖離を縮小し、業界のニーズに即した人材育成を図る狙いがある。

また政府は、国内の教育力強化と並行して、学生の海外留学も引き続き後押ししている。海外教育のための送金にかかる税金(TCS)を5%から2%へ引き下げ、家族や学生の経済的な初期負担を軽減する措置を講じた。

一方で、華々しい計画の裏には長年の課題も横たわっている。専門家は、教育への公的支出が過去10年間GDP比の4.1〜4.6%に留まり、国家教育政策が掲げる6%の目標に達していないと指摘する。また、州立大学の慢性的な資金不足や、博士課程学生の待遇悪化に対する現場の懸念は根強い。India Research Watchの調査によれば、博士課程学生の25%が月額1万ルピー(約110米ドル)未満の支給しか受けておらず、14%は無給であるという。フェローシップや助成金の支払い遅延も常態化しており、優秀な研究人材を惹きつけ国内に留めるには、これら研究現場の待遇改善が急務とされている。

インドが真にグローバルな学術ハブとして成功を収めるためには、インフラ投資に偏ることなく、研究文化の醸成や教員の質向上、学問の自由といったソフト面への長期的かつ確実な支援が求められている。


【引用元】
Budget funds development of five large university clusters
媒体名:University World News
記事名:Budget funds development of five large university clusters
著者:Shuriah Niazi
公開日: 2026年2月5日配信

関連記事一覧